チューブアンプ・トーク(その1)

ヴィンテージアンプの魅力





「ギターアンプといえばチューブ」というのは、エレクトリックギターを奏きはじめたばかりの初心者でも知ってる呪文になるほど常識になってます。しかし、その魅力がどこかを身をもって体験した人となると、ぐっと限られてしまうでしょう。チューブアンプのよさは、ただギターを突っ込んで鳴らしただけではわからないほど深みを持っています。チューブアンプの魅力、それは特性がナチュラルな点に尽きるからです。まさに禅の境地のようなモノ。そのナチュラルさにひたり、それをプレイで奏き分けられる人しか、その魅力は感じ得ないモノということができるでしょう。

チューブといえばディストーショントーン、とバカの一つ覚えのように思っている人もいるようですが、ハードドライビングなディストーショントーンなら、エフェクターで作ったほうが余程手軽にいい音が出ます。一部のゲインの高いアンプ、ブギーやグヤトーンの一部のモデルがそうなのですが、ピッキングに関係なくコンプレションのかかった一様の音色になるほどゲインの高いチューブアンプもあります。しかし、これでは「チューブならではの音」とはいえません。

そういった、どう奏いてもトーンニュアンスの変わらない歪み切った音ではなく、同じセッティングで、クリーンに奏けばクリーントーン、粘っこく奏けばディストーショントーンと、奏き分けで音が変わるのがチューブアンプの良さです。指先の奏き分けで、いかようにもニュアンスが変わるからこそチューブなのです。まさにアコースティックな表現力を持っている点こそが魅力。そういう意味では、クリーントーンがきれいなアンプは、同時にディストーションもきれいというのが、チューブアンプの特徴です。

たとえばフェンダーアンプというと、クリーントーンが特徴と思っている人がいるかもしれません。そんなことはありません。もちろんクリーントーンも魅力がありますが、絶妙のクランチトーンもフェンダーアンプの魅力です。日本で「フェンダーアンプ=クリーン」というイメージができたのは、日本でロックが興隆してきた時期によく使われたフェンダーアンプが、70年代のいわゆる銀パネのモデルだったことに起因します。フェンダーアンプの歴史の中では、銀パネのヤツだけが例外的にディストーショントーンに弱いのです。それ以前の、ツイードとか、ブラックパネルとかのワンボリュームタイプは、そんなことはありません。

これらのモデルだと、アンプをフルテンにさえすれば、ギター側のボリュームで、絞ればクリーン、開けばディストーションと、どちらも自在にいけます。これができるところがチューブアンプの醍醐味ですね。回路が複雑になった70年代以降のモデルだと、どうしても音に色づけをしてしまっていて、こういうナチュラルさ、ストレートさが出てこないのです。これではチューブアンプとしての魅力も減ってしまいます。

だからこそ、チューブといえばヴィンテージアンプといわれているのです。チューブの醍醐味をフルに活かせる、シンプルな回路とナチュラルなトーン。これにはヴィンテージがいちばん。さあ、フルテンにしたヴィンテージアンプに、シールド一本でギターを繋いでみましょう。ギターのヴォリュームが、そのまま「ドライブコントロール」になるこの状態で使ってこそ、チューブアンプ、それもヴィンテージ系のチューブアンプを使う意味があるということができます。



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