チューブアンプ・トーク(その3)

ヴィンテージかレプリカか





中古というとちょっとニュアンスが違いますが、50年代や60年代初期に作られたオールドアンプは、最近のよりやはり作りがいいようです。まあ、真空管機器ですから、エレクトロニクス界が真空管全盛時代に作られたものの方が、その後のトランジスタ時代に入ってからのモノより、どう考えても作りがよさそうですよね。それに加えて、マンコスト面で手間ヒマかけた工作ができたという、オールドギター同様の理由もあります。

やっぱり、真空管そのものの製作技術とか(今は、ロシアもの中国ものといった、過去の使い古した機材で作った管しかないけど、50年代は、アメリカで最新最高技術を投入して真空管を作っていた)、真空管回路に使える耐圧を持ったパーツやトランスのクオリティー、真空管特有の個体差をウマく調整する技術者のノウハウといったものは、一般の電気器具がソリッドステート化するとともに散逸してしまいました。今では、マニアの個人的技術としては残っていても、製品化・工業化の技術ではなくなってしまっています。この違いが大きいですね。

だから今、昔のアンプと同じクオリティーで作ると、オールド買うより高くなってしまいます。実際、デッドストックパーツを使用し、50年代同様の手間をかけて手作りで作った、フェンダーツイードアンプのレプリカが出ていますが、レアモデルのプレミアを除くと、かえって高くつきます。ぼくはミントのツイードデラックスを持っていますが、購入した価格はレプリカより安かったです。

さらに、スピーカー一体型のコンボタイプの場合は、スピーカーキャビネットとしての違いも加わってきます。回路については、同じパーツで同じように組めば、それほど差がないモノを作ることができます。しかし、スピーカーキャビネットは、ある面でギターと同様の、木を使ったアコースティックな工作物です。そこに使われている木の材質、工作の良し悪しによって音は大きく変わってきます。

特にフェンダータイプでは、別項に述べているようにこれが大きく音に影響します。オールドとレプリカと並べていちばん違うのは、キャビネットを叩いたときの響きです。当然出てくる音のニュアンスも違ってきます。ただこれは全体のバランスの中で考えると個性の差と見ることも不可能ではありません。ということで、アンプもギターと同様、現物を何度も試奏して、そのクセを確認してから、気に入るかどうか判断するに越したことはないでしょう。やる音楽によっては、ヴィンテージそのものよりもレプリカの方がフィットする場合も多いのですから。



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