続・「あそこ」での一日 カラー版(その10) -1972年7月14日-


ということで前回から始まった、「あそこ」完全版への道も、これで三回目。こうやって見てゆくと、この時はブロニカでカラーポジを撮るようになる最初の撮影旅行でしたので、まだカラーの使い方にもいろいろ試行錯誤が見られて面白いです。基本的にはその前にブローニーの二眼レフで撮影していたカラーネガと同様に、三脚に固定して撮影ポイントを決めておいてリモコンでシャッターを切るカットが多く、標準レンズがかなり広角気味なので、メインのモノクロより景色を広く入れる構図が中心です。それ以外のパターンとしては、カラーとモノクロで構図を変えて、それぞれ手押しでシャッターを切ったものと、ダイヤ等の関係でカラーだけを手持ちで撮影したものがあります。諸般の事情からカラーはあきらめ(三脚が立てられない等)モノクロのみになった列車もけっこう多いです。



第三回のオープニングは、下りの返空石炭列車から。牽引しているのは、追分機関区のD51285号機。この列車はこの特集シリーズでもすでに二度登場しており、望遠レンズを装着したサブカメラで撮影したものが<無意味に望遠 その1 -1972年7月14日->に、標準レンズで撮影したものが<「あそこ」での一日(その5) -1972年7月14日->に掲載してあります。これは千歳線のガーダー橋の待避所から撮っていますので三脚を立てられなかったようで、三つのカメラを首から下げて、モノクロ標準→モノクロ望遠→カラーという順で次々とカメラを持ち替えてはシャッターを切っていったことがわかります。カラーで見下ろした構図だと、煙の動きがよく見えて面白いですね。


続けざまやってきたのは、室蘭本線の上り貨物列車。小樽築港機関区のD51598号機の牽引です。これはモノクロの標準の方はあきらめて、モノクロ望遠とカラーのみでの撮影になっています。速度制限の掛ったセキではなく一般の車扱い貨物の上に、こちらは下り勾配になっているので、速度が速かったということなのでしょう。望遠レンズを装着したサブカメラで撮影したカットは<無意味に望遠 その1 -1972年7月14日->に掲載してあります。「あそこ」の撮影は、千歳線と室蘭本線の二股をかけやすいということもあり、ガーダー橋より苫小牧寄りを狙うことが多いようですが、実は追分側の室蘭本線は、蒸機全盛期の未電化幹線を思わせるところがあり、こういう一般の車扱貨物がやってくると電化前の東北本線のような雰囲気も出てきます。


今度も続けて室蘭本線下りの車扱貨物列車がやってきます。牽引しているのは鷲別機関区のD51896号機。同時に撮影したモノクロのカットは<「あそこ」での一日(その6) -1972年7月14日->に掲載しています。車扱とはいえ、中小炭鉱から出荷された小単位のセキの返空を多数組み込んでいますので、半分以上がセキという準石炭列車です。分割してそのまま持っていけるように、それぞれのブロックごとに車掌車がはいっているのが面白いです。この区間の石炭列車というと夕張や追分で組成した2000トン列車が有名ですが、こういう小単位のセキ編成もあったのです。まあただでさえ汚い鷲別のカマですから、モノクロのカットでは機番が読めず比定もできませんでしたが、カラーだと896号機とキッチリ読むことができました。はるか遠くに沼ノ端駅の跨線橋がかすかに見えています。


岩見沢第一機関区のC57135号機の牽引する室蘭本線の上り旅客列車。まさに「あそこの花道」というシチュエーションです。この列車は、ガーダー橋の遥か向こう側で撮ったモノクロ望遠と引きで撮ったモノクロ標準の2カットを<線路端で見かけた変なモノ その5 -1/1のジオラマ「あそこの立体交差」 1972年7月->に、モノクロ標準のその一つ前のカットを<「あそこ」での一日(その6) -1972年7月14日->に掲載しています。「あそこ」は当時のSLファンなら誰もが一度は行ったことがあるとは思いますが、「あそこ」自体の全景をキチンと撮っている人は少ないのではないでしょうか。というよりこれより後だと、こういう「人っ子一人いない山」の姿は撮影不可能なのですが。


今回の最後は小樽築港機関区の性転換ガマD5154号機が牽引する、千歳線上りのタンク車返空の貨物列車。この列車をこの前に撮影したガーター橋上のモノクロのカットは<線路端で見かけた変なモノ その5 -1/1のジオラマ「あそこの立体交差」 1972年7月->に掲載しています。札幌貨物ターミナルからやってきた輪西の製油所に帰ってゆくモービル石油のタキ35000と、セメントバラ積用の用途別貨車という返空列車、このセメントタンク車はホッパ車のようなかなり変な形をしているので特徴があります。ぼくはこういう私有貨車には詳しくないのですが、この妙なスカートはタキ3800ではないでしょうか。となると宇部セメントのもので苫小牧駅常備のものでしょう。編成を写すという視点からみると、この千歳線上りの築堤はなかなか魅力がありますね。



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