あおり運転






このところ「あおり運転」がニュースの話題となることが多い。もちろん無闇矢鱈と妨害運転をするのは言語道断だし、ましてや相手に生身の喧嘩を売ってぶん殴ったり、相手のクルマを蹴り飛ばして凹ませたりするのは犯罪そのものである。これらについては弁解の余地も謝罪の余地もない。これらの行為は絶対に許されないというのは、間違いないところである。

しかし「あおり運転」が問題とされるのは、このような「事後の威力行為」だけではない。車の流れという空気を読まず、他の車の進行を妨害しつつ制限速度を大幅に下回る速度で「唯我独尊運転」をする迷惑ドライバーは最近問題になっているシニアドライバーを中心に結構いる。「周囲の交通の状況に関する注意」は道交法70条に規定されており、周囲の車の流れを無視した運転は「安全運転義務違反」に該当する違反行為である。

運転中のスマホ操作が禁止されているのも、この「周囲の交通の状況に関する注意」がおろそかになってしまうからである。そしてこういう空気を読まないドライバーの後ろには、制限速度を遵守する安全運転ドライバーであっても数珠繋ぎの大迷惑状態となる。この状態を持って、この「唯我独尊運転」のドライバーが「あおられている」と逆恨みする危険性は大いにある。

というよりも、そもそも周囲のクルマやドライバーに気を配らないから「唯我独尊運転」になるのである。当然、自分がめちゃくちゃ低速で走っているから、みんな後ろから迫ってくるという「因果関係」に気が付くことはない。その分、自分は何も悪いことをしていないのに、他の車が「あおってくる」と自己中心な解釈をするだろう。意固地な頑固ジジイになったシニアドライバーならなおさらである。

同じようにシニアに多い「迷惑ドライバー」としては、片側2車線以上の路線で追い越し車線を超低速でたらたら走り続けるタイプの運転者もしばしば見かける。これは道路交通法20条の「通行帯違反」に該当する違反行為である。このようなクルマをかわそうとして走行車線に戻り制限速度内で走ること追い抜いても、場合によっては追い越し違反に問われることもある。少なくとも追い越す目的がないのであれば、追い越し車線を走ること自体が違反になるのだ。

これらの状況では、悪いのは安全運転義務違反に問われるべき「唯我独尊ドライバー」であり、後ろから「早く行け」とばかりに数珠繋ぎになっている一般ドライバーではない。もちろん、最低速度が規定されている路線でなければ、制限速度を大幅に下回る速度でゆっくり走る自由はある。アクセルとブレーキを踏み間違えそうな半分認知症なシニアドライバーなら、その方が世のためになるかもしれない。

片側一車線の道路でこのような事態になった時は、一旦左端によってハザードをつけて停車し、後続のクルマに道を譲り、それらが走り去った後再び低速で走ればいい。そして、また後続車が溜まってきたら、また止まって譲ればいい。とにかく自分が他の人よりゆっくり走りたいんだということをしっかり自覚し、どんどん道を譲るようにすべきなのだ。ある意味、それは世の中に自分の意思を通すための、他人に対する礼儀でもある。

昔は免許を取り自ら運転する人が少なかったので、こういうマナーは共有されていた。後ろからクルマが来ると、遅いクルマは道を譲ったものである。特に昔の小型トラックには荷重のワリに非力なエンジンしか載せていない車種が多かったので、急な上り坂が連続する道などではしばしば停車して後続車に道を譲るシーンが見られた。ヘアピンコーナーが連続するハンドリングが難しい峠道などでは、運転に自信のない人は停車するスペースのあるところで停車して道を譲ったものである。

大事なのは、この自分の立ち位置を認識して、相手に譲る気持ちである。これを持っていない「唯我独尊ドライバー」こそ社会的に迷惑な存在である。その被害者まで「あおり運転」にされてはたまらない。これでは本末転倒である。そもそもそういう「唯我独尊ドライバー」は社会で運転すべきではないと思うが、まあこれは個人の自由なので尊重しよう。しかし、個人の自由は、あくまでも他人や社会に迷惑をかけないことが前提である。

そう考えてゆくと、この問題もやはり最近の左翼やリベラルの支持者に顕著に見られる「分をわきまえず、権利ばかりを主張する人達」の成せるワザであることが理解できる。さすがにそういう人達も「寄るべき大樹」が枯れかかっているのを感じ取っているのか、「イタチの最後っ屁」という感じで「今のうちに貰えるものは貰っておこう」というおねだりが強くなっているのであろう。これもやっぱり「甘え・無責任」な臭いがプンプンしているなあ。

(19/08/23)

(c)2019 FUJII Yoshihiko よろず表現屋


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