釣り人のジオラマ


ぼくの場合、新しいジオラマを入手することは、どこか行ったことがない撮影地に行くような楽しみがあります。ノーマルな趣味ではないかもしれませんが、作ったジオラマの上でロケハンして、いろいろな構図を発見するのが好きなのです。もちろん、作っている最中から、かなり「そういう使いかた」を意識していますが。そんなワケで、手軽に新しいジオラマを増やすことには、けっこう積極的です。おいおい、不思議な来歴のジオラマも増えてしまいます。これも、そんなジオラマの一つ。見ればわかるように、元はDDFのN用のジオラマです。90年代の半ばに、Nで出戻ってきたときに、お立ち台用として購入しました。Nは走行専門になり、見る主軸はHOに移ったので、しまい込んでいたものを、12mm用に改造したものです。



まずは全景。そもそも、なんでN用を12mm化などという「無謀」にも見えることを思いついたのかというと、実は、このジオラマに使われていたカトーのN用ユニトラックの道床幅は25mm。シノハラの、12mm用フレキシブルトラックの枕木幅と同じなのです。ユニトラックを外し、25mm幅の路盤を取り付けた上で、そこにフレキシブルトラックを取り付ければ、容易に改軌(っていうのかね)が可能です。まあ、線路幅だけでいうならば、2-6ナローを、3-6に改軌というのは、実物でも事例はありますし。もともとNの建築限界は、カーブのキツさから相当ユルめになっているからこそ、できるワザともいえますが。


続けてC5526号機で、ちょっと構図を変えたショットです。このジオラマでは、もともとこの木陰に、釣り人の人形がいました。とはいえ、Nスケールの人形なので、さすがに使えません。しかし、これがこのジオラマ最大のアクセントなので、ここは何とかしたいところ。プレイザーのHOスケールの釣り人を探し出して入手、ほぼ同じような雰囲気で釣りをはじめてもらいました。前のカットは、Aiマイクロニッコール55mmf3.5ですが、これはまだD50付属のズームレンズのマクロ機能で撮っています。その分、妙な収差が気になる描写です。この歪みが気になりだしたので、マニュアルのマクロレンズを引っ張り出してきたわけです。


改造をはじめたときは、改軌と人形だけでいけるかな、と思っていたのですが、はじめてしまうと、やっぱり気になるところがいろいろ出てくる。そんなワケで、植木屋さん方面も、かなり手が入っています。木を植え替え、植え足すのに始まり、フォーリッジ、スポンジ関係も、ほとんどオリジナルの上に撒き足してあります。もっとも、オリジナル部分も残っていますし、そことウマくつながるようにした撒き足しているので、全体の雰囲気としては、DDF色は強く残っていると思います。まあ、DDF製の12mmのジオラマ、という感じを目指しました。機関車は、二号計画の9600です。デフなしなので、後藤寺区のカマでしょうか(って、40歳以上の人しか、そんなこと知らないって)。


雰囲気を変えて、線路脇からの「王道構図」の撮影。このジオラマは、Nとしては比較的大きく、12mmでも、20m車が楽々載ってしまいます。当然、9600、8620といった小さめの機関車なら、いろいろなポジションで撮影することが可能です。こうなってくると、川でも釣り人でもなくなってしまいますが、それはそれで構図のバリエーションの面白さ、というところでしょうか。バラストは、もと使われていたものと同色のもの(サイズはHO用だが)を使い、元のバラストが、犬走り的に下からちょこっとハミ出すように仕上げました。市販材料が使われていると、こういう時には楽で便利ですね。


いままでのカットが、どちらかというと平野部の川をイメージしたものなのに対し、もうちょっとスパルタンなイメージにしようと、バックを山の斜面にしてみました。バックをいつもの白バックから、地面用の「草ペーパー」にしただけですが、にわかに山岳路線っぽい感じがしてきます。ぼくの好きな「川線」もそうですが、山の中を谷沿いに進む路線では、バックが空ではなく森、というところも多いですし、そういう路線にカギって、けっこう末期まで蒸気が残っていたりしました。北海道でも夕張線とかはそうですよね。写真にしてしまうと、今までのカットと同じジオラマ、という感じがしません。


ぼくの芸風自体が、「蒸気時代末期の旧国鉄の亜幹線」というところにあるので、どうしても狙いの中心はそこになってしまいます。おいおい、ジオラマもD51とかが登場してもおかしくないもの、というのを前提につくりますが。しかし、「大は小を兼ねる」ではないですが、舞台は同じでも、登場する役者が違えば、それなりに雰囲気は変わるもの。ということで、DD35を載せてみました。同じジオラマでも、ローカルな地方私鉄っぽい感じがしてきます。まあ、どちらにしろ「日本の田舎」の風景なのですから、駅舎とかそういうのがなければ、「線路には色はない」というのも、ジオラマの面白いところではないでしょうか。


(c)2007 FUJII Yoshihiko


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