Gallery of the Week-Jul.02●

(2002/07/26)



7/4w
不思議空間へ ルネ・マグリット展
Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷

実はルネ・マグリットは、ベルギーでは美術史に輝く国家的な大アーティスト何だそうである。ということで、生誕100年にあたる1998年には、一大回顧展がベルギーで開かれた。今回の展示は、それをベースに、ルネ・マグリットの生涯を網羅する回顧展となっている。また、日本でははじめて公開される作品も多数含まれている点も特徴となっている。
ルネ・マグリットといえば、日本では「空とだまし絵」である。それが圧倒的に有名だし、また、圧倒的に人気が高い。シュール・レアリズムの作家の中では、もっとも一般的なレベルでのウケがいいのではないだろうか。しかし今回の展覧会は、そういうポピュラーな部分だけでなく、彼の作風を幅広く網羅している。実にいろいろな技法や表現を駆使して、イマジネーションのビジュアル化を行っていることにオドロかされる。
そういう意味では、多様な心象の中のイメージを、それに最適なテクニックを活用することでヴィジュアル化している作家であることがよくわかる。確かに「謎」は謎なのだが、ヴィジュアルが謎なのではない。ヴィジュアルは極めて明解であるがゆえに、作者の心の中にひそんでいる謎が何なのか、はっきり伝わってくる。だから、とても素直で、ストレートで、わかりやすい。
シュール・レアリズムというと、表現テクニック自体をヒネりすぎて、ヴィジュアル自体のメッセージ性が不明になってしまっている作品も多い。いつも言っているのだが、解説があってはじめて「理解」できるモノは、アート作品ではない。複雑怪奇なメッセージでも、それが相手に伝わってこそ「作品」である。その点、彼の作品は、まさしく作品である。なんで彼の人気が高いのか、よくわかった気がする。



7/3w
2002 ADC
ギンザ・グラフィック・ギャラリー 銀座

今年もまた、この季節になってたのね。忙しいのと、気候に季節感がない年なので、なんかあわただしく流されていると、時間軸の経過があいまいになってしまう。なんか、締切を忘れちゃってた、ってのが続出しているけど、そのせいだろうか。ということで、今年もADCである。オフィスのビルがちょっと変わって、gggはますます近くなったのであった。
でも、何か元気がないぞ。全体に。広告業界が景気が悪い、ってのはこりゃしょうがないけど、デザインまで元気がないってのはいただけない。金がついてこなければ、金がないなりに、斬新なアイディアってのがあるじゃない。80年代の英国病の時期のロンドンだって、デザインだけは元気あったのに。いや、金がついてこない分、ゴージャスな正攻法が取れないからって、一層アイディア勝負だった気もする。
なんか、慎重過ぎ、手堅過ぎって感じ。まだ、手堅くやれば、それなりに稼ぎがあるってことかもしれないけど。でも寂しいなあ。みんな守りに入ったら、それこそ経済がシュリンクしちゃうよ。消費活性化はデザインから。ワクワクしなきゃ広告じゃないよ。



7/2w
「日本美術の流れ」
東京国立博物館 上野

ワールドカップ「韓国の名宝」とペアになるカタチで、古代から江戸時代までの日本の文化の流れを、東博館蔵の収集品で見せる企画展。海外からのお客さまは、パスポートを見せると無料という企画からもわかるように、日本文化の歴史、日本美術の歴史に詳しくない外国人にも、一見でわかりやすいコンパクトな構成となっている。構成も企画先行で、国宝、重文からレプリカまで動員して、モノ中心というより、見せること中心の構成となっている。
会場の表慶館のコンパクトな落ち着きをうまくいかした感じで、これはこれで小さいながら、一つの国を代表する中央博物館的なまとまりが感じられる。東博の本館の展示は、ジャンルごとが基本になっており、第一室が偶然「陶磁器」だから、縄文式土器からはじまっているところこそ共通しているものの、時代別にヨコにいろいろなジャンルを比較する視点はない。武具や刀剣、服飾、金工といったコーナーは、そのジャンルに興味のある人ならいざ知らず、ジャンル別にまとめてしまったのでは、ちょっと得られる視点が狭くなってしまう気がする。
特に、多様な武士の文化が広がる鎌倉時代以降とかについては、その感が強い。今回の「日本美術の流れ」のような、各時代毎の文化の広がりを中心に見せてくれたほうが、理解も造詣も深まるというものである。ということで、折角こういう構成をしたのだから、たとえば本館の一階の展示については、時代別の見せ方に改めてくれたりしないものだろうか。ちょっと気になった。



7/1w
2002FIFAワールドカップ開催記念 日韓文化交流特別展
韓国の名宝
東京国立博物館 上野

ワールドカップも予想以上の盛り上がりとなって終わったが、巷では日韓共催を受けてすっかり韓国ブームである。何年かおきに「韓国ブーム」の波がくるが、今回のは格別の盛り上がりだ。こっちは韓国マニアなので、基本的にはうれしい限りである。しかし、なにか自分だけが知っていた秘密が、周知の事実になっちゃうような、なんかちょっと寂しい気分がすることも確かだ。もっとも、自分が韓国マニアになったのも、ソウルオリンピックの時の「韓国ブーム」だったりするので、あんまり大きいこともいえないのだが。
ということで、数多くの「国宝」「宝物」を含む、紀元前から20世紀にわたる韓国の文化財の数々で、韓国の美術の流れを振り返る企画展である。「先史・三国」「仏教美術」「高麗青磁」「朝鮮陶磁」「絵画・書跡」「宮廷・両班」の六つのテーマに分け、それぞれの時代を代表するような作品を展示している。
有名な文化財も多いので、過去目にしたことのあるものも多いが、とにかく相当な物量で攻めてくるので、かなりおなかがいっぱいになるまで堪能できる。新鮮なのは、朝鮮時代の仏教美術と朝廷関係の文化財である。この李朝時代の文化というと、柳宗悦の民芸運動以来、日本では庶民的なものにスポットライトがあびすぎている傾向があり、けっこうそれ以外の作品を見るチャンスは少ない。そのあたりにも、ちゃんとバランスが取れた展示になっており、目新しいものも多く面白かった。韓国ファンでなくても、充分楽しめて勉強になれますよ。



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