Gallery of the Week-May.06●

(2006/05/19)



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昭和の鉄道写真100景 -復興から高度成長へ
旧新橋停車場鉄道歴史展示室 汐留

東京ステーションギャラリーは、東京駅の駅舎復元完成まで、東日本の各地でのイベント活動を続ける予定だが、その第一弾として、ステーションギャラリーと同じ、東日本鉄道文化財団が運営する鉄道歴史展示室の場を得て実施する写真展。奇しくもこの春、それぞれのリニューアルのため閉館した、JR東日本グループの2つの文化施設。東京ステーションギャラリーと、交通博物館のコラボレーションで行われる。
交通博物館主催の、公募の鉄道写真コンクールは、昭和26年から47年まで行われたが、この入賞作品は、交博の所蔵品として残されている。この中から、「なつかしの駅舎」「楽しい鉄道の旅」「なつかしの列車」という、三つのテーマで選んだ写真100枚を展示し当時を回顧する企画である。
一般公募だけに、マニアの写真とは違い、鉄道写真といっても車輌写真ではなく、鉄道と人間、鉄道と社会との関り、といったテーマの写真が中心である。当時は、まさに鉄道がライフラインを支えていた時代だっただけに、鉄道を写すことは、即、そのころの社会や生活を写すコトにもなる。従って当時を知る者にとっては、リアリティーを感じさせる写真が多い。
何枚かは雑誌等で使用され、見たことのあるカットもあるが、ぼくでさえ初めて見る写真も多く、鉄道ファンにはもちろん参考になることが多い。が、それだけでなく、その時代の思い出に浸りたい人にも、「三丁目の夕日」以来の、戦後昭和ノスタルジーファンにとっても、リアルな時代感を垣間見れる貴重なチャンスといえよう。



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鋤田正義写真展 シャッターの向こう側
クリエーションギャラリーG8 ガーディアン・ガーデン 銀座

グラフィック界のビッグネームの半生を、その作品から振り返る、リクルート系ギャラリー、2館共同開催のタイムトンネルシリーズ。今回は、写真家の鋤田正義氏が取り上げられた。2館のうち、クリエーションギャラリーG8が「お仕事の作品」を振り返る一方。ガーディアン・ガーデンはもっと私的な「写真作品」を中心とした展示である。
鋤田氏といえば大広出身だし、広告のグラフィックのカメラマンとしてはもちろん、CM撮影でも活躍しているワケだが、個人的にはなんといっても「ロック専科のカメラマン」という印象が強い。ぼくにとっては、時代とロックが一番シンクロしていた70年代に、アルバムジャケットやステージフォトで、その作品の鮮烈なインパクトが印象づけられたからだ。特にクリエーションギャラリーG8においては、それら、印刷物でおなじみのカットのオリジナルプリントが見られるだけに、ひとコマひとコマ、なかなか思い出深いものがある。
一方、ガーディアン・ガーデンは、いわばアーティストとしての鋤田氏の側面にスポットライトを当てる。なんと、直方市出身の鋤田氏が、最初に撮影し雑誌のコンテストに投稿した写真は、「直方の跨線橋から撮影した、操車場のSL」だという。それって、跨線橋ではなく、「あの陸橋」じゃないの。作品は展示されていないものの、当然、夜景を撮ったというその作品は、イメージとしてくっきり浮かび上がってしまう。
おまけに初公開の、30年間にわたって列車や自動車、飛行機を撮りだめた「20世紀がくれたもの/のりもの・プラス……」である。この目線。いつも言っているように、鉄道写真とステージ写真は、写真家からは演出不可能なモノを、瞬間を切り取ることで演出する、という共通点がある。まさに、鋤田氏が得意とする撮影法こそ、この瞬間を切り取る演出ではないか。ロックのステージ写真はもちろん、広告写真も、CMの演出さえも、まさに、このライブ感が共通しているのだ。なるほど、直方。これは、妙に納得するものがあった。



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アンディ・ウォーホル展
ときの忘れもの 南青山

「アンディ・ウォーホル展」とはいっても、これはウォーホルの作品展ではない。もちろん、数点のリトグラフは展示されているものの、この展覧会は「ウォーホルに関する資料」の展覧会なのだ。この資料コレクションは、「史上最強のウォーホル・ウォッチャー」との異名を取る、故栗山豊氏が集め、ときの忘れものに寄託されたものの一部である。
栗山豊氏は、街頭で似顔絵描きを営むかたわら、ウォーホルにコダわり続け研究家となるとともに、当人とも親交を持ち、秋山祐徳太子をして「路上のウォーホル」と称させた怪人である。限られた会場スペースの中には、壁面にコレクションのコピーが貼りまくられるとともに、何冊ものファイルにおさめられた資料が山積みになっている。
展示されているのは「栗山コレクション」の中でも、主として雑誌や書籍等のメディアに露出したモノが中心になっている。テーマがウォーホルなだけに、トンガったりアンダーグラウンドなメディアや、マイナー系のメディアがほとんどだが、その分、各時代の「エッジな世界」が行間からにじみ出てくる。
ほとんどリアルタイムで見ているのだが、極めて「特殊」な世界を創り出していた雑誌や、2〜3号で消えてしまった幻の雑誌も含まれていて、実に懐かしい。また、表紙や目次の切り抜きからは、他の記事など、それぞれの時代性があふれていて、当時の風俗を知るという、ウォーホルと関係ないところまで楽しめる。いや、そこまで「時代がくっついてきてしまう」ところが、なんともウォーホルらしいというべきだろうか。



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