Gallery of the Week-Sep.06●

(2006/10/27)



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パラレル・ニッポン 現代日本建築展 1996-2006
東京都写真美術館 恵比寿

バブル崩壊後、特に金融危機以降の日本は、それまでの日本の社会や経済の特徴となっていた「画一的金太郎飴」の悪平等的横並びを脱し、ピンからキリまで、あらゆる状況が併存する混沌が活気を生む社会となった。そこでは、時代や様式を越えた、あらゆるモノが併存してしまう。そういう意味では、いろいろなスタイルのサンプルを収集するのに、これほど適した時代はかってなかったかもしれない。
これは、そんな世紀の替り目の日本で建設された(一部、日本人の手による外国の建築物もあるが)建築112点を選び、現代日本の建築、ひいては、今という時代における建築のあり方を考える企画展である。今回の国内での展示をキッカケに、これから願い年月をかけて、海外で巡回展を行うコトを前提にした企画となっている。
全体は、都市のサイクル、生命のサイクル、文化のサイクル、住まいのサイクル、という4部構成となっており、それぞれの視点から、特徴的な建築作品がノミネートされている。このコンピレーションが、現代日本建築を代表しているかといえば、相当な疑問が湧いてしまうが、現代日本建築の持つ「多様性・多元性」を象徴する作品群と考えれば、それはそれで納得できないでもない。
いずれにしろ、でっかいモノからちっちゃいモノまで、あらゆる種類のあらゆるタイプの建築が目白押しである。展示そのものは、2建築で1パネルと、至ってシンプルなのだが、そこに押し込まれている情報量はものスゴい。示準化石ではないが、この時代の日本に、その建物が建てられたということと、それに対するニーズが(何らかのカタチで)あった、ということは少なくとも明確である。日本が、高度成長期の桎梏を脱した時期がここにあったことを、如実に感じさせてくれる。


10/3w
第27回 写真「ひとつぼ展」
ガーディアン・ガーデン 銀座

毎回楽しみの、「ひとつぼ展」シリーズ。今回はまた半歩廻って、写真の巻。いつもは開幕早々に行ってたので、どの作品がグランプリになるのか、まだわからない状態で見て成り行きを予想する、という楽しみかたもできたのだが、今回は、時間の都合がつかず、グランプリ発表後、というのがちょっと残念。
「ひとつぼ展」は、毎回毎回トレンドがあって面白いのだが、今回の潮目は、「極端に内向的」というところだろうか。自分探しのために、自分に向けて作っている、という感じの作品が過半数を占めている。もちろん、「私小説」もあれば「私写真」もあるので、そのスタンス自体に問題があるワケではない。
気になるのは、「自分で自分を発見して納得」というところで止まってしまっていて、その「発見感」を第三者と共有したいとか、自分自身の内面を作品としてみんなに見て欲しい、といった第三者への表現意欲があまり感じられない点だ。似た例を出すと、ジオラマの撮影があるかもしれない。
単に、模型製作記事の参考写真として、そのジオラマの詳細を伝える写しかたと、ジオラマの中にあるストーリーをヴィジュアライズする写しかたとは全く違う。同じように、作者の意識下にある何かを写真化するにしても、それを自分が「理解」するためにカタチにすることと、誰かにストーリーとして伝えることとは、似て非なる作業である。まあ、それもトレンドなのかもしれないが、何か寂しい気もする。


10/2w
勝手に広告 (中村至男+佐藤雅彦)の活動 No.6
ギンザ・グラフィック・ギャラリー 銀座

映像やゲームソフトで、独自のコラボレーションワークを発表してきた、中村至男氏と佐藤雅彦氏。この両氏が、「relax」「Casa BRUTUS」といった雑誌で2002年以来発表してきた、「勝手に広告」シリーズ。このシリーズは、企業ロゴや商品を使ったアート作品というコンセプトが基本となっているが、すでに誌上で発表された作品と、新作をあわせて30点ほど紹介する展覧会である。
商品の作品化は、20世紀後半以降の現代アートではしばしばみられるが、このシリーズの特徴は、批判や揶揄、パロディーといった要素を入れず、ひたすらその「カタチ」をピュアに造形に活かしてしまう点にある。ロゴや商品をポジティブにヴィジュアルの中に取り入れるという意味では、ある種広告と共通する面がないではないが、基本は純粋にカタチにある。
それより、ちょっとウィットを効かせてアイキャッチ力を高めるという、グラフィックデザインの基本的ノリが、広告におけるグラフィックデザインの切り口とけっこうにているコトの方が、妙に気になったりする。で、それ以上に謎なのは、写真の撮り方が、ブツ撮りの手法ではなく、模型の撮影手法に極めて近い点。これってもしかして、両氏のうちどちらかが?



10/1w
パッケージマニア
クリエーションギャラリーG8 銀座

パッケージデザインの領域で活躍する、9人のベテランデザイナー、有澤眞太郎氏、伊藤透氏、犬塚達美氏、井上幸春氏、加藤芳夫氏、川路ヨウセイ氏、佐藤昭夫氏、高橋敏氏、信藤洋二氏の主要作品と、この展覧会のためのオリジナル作品とで、パッケージデザインの持つ魅力と可能性を示す企画展。
商品にとってパッケージのデザインは、なんとも微妙なポジショニングにある。商品特性そのものではないが、特性を体現し、それを広くアピールするためには、不可欠なものである。商品ジャンルによっては、パッケージデザインが、商品の個性化・差別化の全てである場合もある。パッケージデザインだけで商品力のない製品を売ることも難しいが、むき出しの製品だけで、商品の魅力を売り込むコトも、また難しい。
また、パッケージデザインというのは、デザイナーやアドマンといった外部の人間にとっては、もっとも商品に近い部分にコミットできる最右翼の領域である。そういう意味では、我々にとって、広告主とサシで勝負できる、数少ない領域でもある。
ともすると、モノ「創り」より、モノ「作り」を偏重してきた日本の製造業にとっては、これから極めて重視すべきポイントでもあり、もっと広くその重要性が知られる必要がある。そういう意味では、パッケージの持つパワーがよく見て取れる構成となっており、デザインに関心の薄いヒトにこそ、ぜひ見て欲しい展覧会だ。



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