Gallery of the Week-Sep.09●

(2008/09/18)



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「女性アーティストと、その時代」資生堂ギャラリー90周年記念展
資生堂ギャラリー 銀座

1919年に、銀座の資生堂店舗の一部を区切って川島理一郎の個展を開いて以来、脈々と資生堂の文化活動として続いてきた資生堂ギャラリー。その90周年を記念して、女性との深い関わりを表現すべく、現代美術で活躍する女性アーティストにスポットライトを当てた企画展である。
世界で活躍する女性アーティストの中から、青木野枝氏、イワタルリ氏、北原愛氏、キムスージャ氏、サム・テイラー・ウッド氏、辰野登恵子、西山美なコ氏、ピピロッティ・リスト氏、森万里子氏、米田知子氏、ローラ・オーエンズ氏という、個展の開催、あるいは「椿会展」への参加など、資生堂ギャラリートの縁が深い11人が選ばれ、それぞれ近年の代表作一点づつが出品されている。
資生堂ギャラリーというと、楽しみなのがインスタレーションとしての「全体構成」だ。今回は、一般の画廊ではよくあるが、資生堂ギャラリーでは珍しい、マルチアーチストの個別作品の展示である。ポイントは、あたかも美術コレクターのプライベートコレクションルームを思わせるような、落ち着いた空間を醸し出していた点だろう。
また、奥の小展示室では、資生堂ギャラリーの歴史年表と共に、関連記事が掲載されてる、各時代の美術雑誌の現物を、観覧者が手に取れるカタチで展示されているが、これもある意味、極めてユニークな試みといえる。場内では、資生堂の女性役員である、岩田副社長、大矢監査役ともご挨拶できた。ご招待頂いたコトに、この場を借りて、重ね重ね謝意を表したい。



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赤塚不二夫展 ギャグで駆け抜けた72年
松屋 銀座

このコーナーでは、原則として、少なくともその週末までやっている展覧会を取り上げることにしているのだが、せっかく招待券をもらっていたのに、時間がとれず、けっきょく行けたのがギリギリになってからになってしまったので、例外的に今週月曜までのイベントだが取り上げることとする。
このところ、マガジン・サンデー50周年ということもあるのか、ときわ荘系というか、少年マンガ誌育ち第一陣の漫画家たちの回顧展がよく行われている。昨今はやりの、「昭和レトロ」というニュアンスもあるかもしれない。赤塚氏も、昨年、長年の療養の末鬼籍に入ってしまったが、確かにこの世代の漫画家たちも、気がつくと歴史の中の存在となっている。
この展覧会では、比較的よく残っている(赤塚先生のイメージからすると、ちょっとビックリしたりするが)人気連載マンガのオリジナル原稿により、代表的な作品と氏の生涯を振り返る構成を基本とし、その中に、写真や各種記念物、アニメの映像やそれぞれの時代を感じさせる品々がちりばめられた構成となっている。客層も、まさに老若男女という感じで幅広かった。
こうやって振り返ってみると、赤塚氏の名作の数々は、いわゆるマンガ作品という枠を大きく越え、「グラフィックによるパフォーマンス表現」という域に達しているコトに気付く。もちろん、通常の意味でのマンガ作品もあるだけに、そうでない作品の特異な存在感が自己主張している。まさに60年代から70年代は、パフォーマンスアートの時代であった。その時代にグラフィックという分野から挑戦した表現者が、赤塚不二夫氏だったということもできるだろう。



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美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展
サントリー美術館 六本木

アメリカの美術館には、日本美術、東洋美術のコレクションで知られるところも多いが、その中でも名高い美術館の一つであるシアトル美術館の所蔵品の中から、日本を中心に、中国、韓国等の美術品を選んで展示する企画展。同館のコレクションをまとめて、海外で展覧会を行うのは、今回がはじめてという。
シアトル美術館は、地質学者で東洋美術コレクターとしても知られたリチャード・フラー博士が、1931年に自身の日本美術、東洋美術コレクションをシアトル市に寄贈すると共に、運営資金も提供して設立された。フラー氏は、そののち40年以上館長をつとめ、コレクションの充実と発展につとめたという。
このような篤志家の寄付により、文化インフラが作られるというのは、近現代史しか持っていないアメリカならではだが、CSR的な意味では良い伝統でもある。この結果、寄贈者の個性が反映され、どこでも判で押したようなラインアップではなく、それぞれ特徴を持ったコレクションとなっていることも評価できる。
今回の展示品は、そのコレクションの奥深さを示すように、考古品から、書画等の美術品はもちろん、陶器・漆器等の工芸品まで、時代とジャンルに関して、あたかも美術館というより、博物館の展示を思わせる幅広さである。このようなコレクションが、幕末・維新の混乱期ではなく、主として大正末から昭和初期にかけて収集されたというのは驚きである。
今回の見せ場は、昭和初期の競売で断簡とされた、光悦・宗達による鹿下絵和歌巻の「再編」である。時代や事情を考えると、仕方なかったコトだろうが、協力が得られたモノについては、できる限り現品を集めてくる、という展示方法は面白い。それにしても、シアトル美術館蔵の分だけが、ほぼ半分連続したカタチになっているというのは、なかなか考えさせられるところがある。



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