Gallery of the Week-Jan.10●

(2010/01/22)



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shiseido art egg vol.4 曽谷朝絵展
資生堂ギャラリー 銀座

最近は、平日は当然のこととして、休日も、電車代払って、美術館等で行われている有料の展覧会を見に行く時間が全く取れない。ということで、今週も近場の無料ギャラリー。けっきょく今月は、みんなそうじゃないか。ちょっと、抜本的に企画を考えるべき時期だろうか。で、今週は資生堂ギャラリー。1、2、3月は、今年で第4回目となる、若手アーティストの公募展であるshiseido art eggが行われる。
一月は、その第一弾として、曽谷朝絵氏の個展である。曽谷氏は、色彩インストレーションや壁画など、空間を埋めつくすカラフルで大型の作品で知られたアーティストである。今回は、「鳴る色」と題する、資生堂ギャラリー全体をフルに使った、大型のインスタレーションでの参加である。
白く塗りつぶされたギャラリーの、壁面といわず、床といわず、天井といわず、はては空中まで、豊富な色調のカッティングシートの切り抜きで埋めつくされている。大きいものは背丈の倍以上あるモノから、小さいものは手のひらより小さいモノまで。その中を、靴にカバーをかけた観覧者が歩いて廻る趣向である。
もともと資生堂ギャラリーは、その空間自体を活かし、ギャラリー自体をひとつのインスタレーション作品として仕上げてしまう時に、他にない真価を発揮する空間である。今までにも、数々の習作インスタレーションがあった。このインパクトは、その中でもトップクラスのモノだ。例の「ホンモノの家を建てる」ヤツ以来のヴィジュアルショックともいえる。コレこそ、百聞は一見にしかず。是非、経験してほしい。



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○△□展2010(長友啓典・浅葉克己・青葉益輝)
クリエイションギャラリーG8 銀座

「○△□展」は、日本を代表するグラフィック・デザイナーである、長友啓典氏、浅葉克己氏、青葉益輝氏の三氏による共同展。1985年スタートしていらい、今回が第4回目となる。今回は特に、三氏のデザイナーデビュー50周年であると同時に、三人そろって古希の70才。合わせて210才のクリエーティブ・パワーが炸裂する、未だかってなき企画となっている。
展示は、日暮真三氏が提示した10のキーワードである、「時代を象徴する10の言葉」をテーマに、○長友氏△浅葉氏□青葉氏の三氏が、それぞれ10点づつ今回の展覧会のために制作した新作ポスターと、各氏の過去の代表作ポスターそれぞれ10点づつ、あわせて60点の作品で構成される。
新作も、旧作も、流石に各氏の個性がストレートに表現され、アナログ時代から活躍してきた大御所ならでは。特に、それぞれの芸風があふれる新作は、見る者を各氏の土俵の上に思わず引きずり込んでしまうなど、オリジナル作品ならでは。人が違えば、手法も表現も違って当たり前だし、世界観だって違っていい。昨今、コストと納期に追われると忘れてしまいがちな創作の原点を、改めて気付かせてくれる。



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DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵品展II 田中一光ポスター 1953−1979
ギンザ・グラフィック・ギャラリー 銀座

戦後日本のグラフィックデザイナー第二世代の代表選手ともいえる、田中一光氏。2002年に亡くなってから10年近くが経つが、このほど作品と関連資料約120,000点がDNP文化振興財団寄贈され、これを元に2008年末、「田中一光アーカイブ」が設立された。これを記念して、収蔵品となった田中氏の作品の中から、1950年代から70年代に制作されたポスター作品約700点の中から150点を展示、田中氏の創造活動の初期から中期までの軌跡を、実際の作品からたどる企画展である。
グラフィックデザインのビッグネームの回顧展というのは、通してみると、およそ「変化しつづける人」か、「ブレない人」かのどちらかである。それぞれタイプは違うが、半端な人はいない。田中氏は、さしずめ変化しつづける人の代表であろう。初期の作品は、才気こそ感じるものの、当時の日本のデザイン界(意匠界というべきか)の「想定内」の作品からスタートしている。もともとグラフィックでスタートした方ではないので、この時点では猛烈な速度で、時代の尖端をキャッチアップする意気込みだったのだろう。
それが、10年程度の間に、日本の尖端から、世界の尖端をキャッチアップし、さらにそれでもとどまることなく加速を続け、他社の追随を許さない独自の境地にまで達する。さらに第2段ロケットに点火すると、今度は「第二宇宙速度」に達し、グラフィックデザイナーではなく、まだ日本では充分に職能が確立されてはいなかった、アートディレクターとしての道を進みだし、それを極めてゆく。まさに、田中一光氏の世界がつくられてゆくプロセスが、作品を通して見えてくる。
ここで紹介されている1950年代から70年代というのは、ちょうどぼくが生まれてから、この業界で仕事を始めるまでの時代でもある。ぼくにとっては、人生の中で、デザインとか広告とかいうモノを、他人事として、あるいは受け手として、外側からみていた時代でもある。まさに高度成長と共に、日本のグラフィックデザインは、戦前の延長上を脱して、時代にあったグローバルなセンスを身につけた。あたかもその時代の東京の街が変貌してゆくのを見るような感じで、懐かしい時代を垣間見れた感じもする。



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現代絵画の展望 12人の地平線
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 新橋

旧新橋停車場 鉄道歴史展示室では、鉄道博物館等と連動した鉄道にまつわる展覧会と共に、東京駅丸の内駅舎保存・復原工事に伴い休館中の「東京ステーションギャラリー」の企画展も行っている。今回の展覧会は、後者の企画で、純粋な美術展である。内容は、1999年の「現代日本絵画の展望展」の続編として、2007年に行われた「現代美術の展望−それぞれの地平線」展を受け継ぎ、日本の代表的な現代絵画のアーティストの作品を、「あの頃」としての過去の作品を前期、「この頃」としての新作を後期、と2期に分けて展示する企画展である。
紹介されるアーティストは、宮崎進氏、堂本尚郎氏、中村宏氏、郭徳俊氏、吉村芳生氏、イケムラレイコ氏、中村一美氏、小林正人氏、藤波理恵子氏、夏目麻麦氏、元田久治氏、山田純嗣氏の12人。30代から80代まで、幅広いアーティストが顔を揃えている。
今回は、「あの頃」として、それぞれセンセーショナルな活躍をした時代の作品をあつめており、展覧会の全体像は、後半の「この頃」を見なくては何ともいえない。しかし、キャプションを見なくても、およそ5年区切りぐらいのスパンでは、どの年代の作品かほぼわかるのはスゴい。やはりそれだけ、時代を代表し、体現した作品ということができるだろう。時代性と作風の交錯を期待させる、後半が楽しみである。



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