Gallery of the Week-Mar.11●

(2011/3/25)




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デザイン 立花文穂
ギンザ・グラフィック・ギャラリー 銀座

世の中の流行とは一線を画し、孤高に独自の世界を追求し続けるデザイナー/アートディレクターである、立花文穂氏。「デザイン」「印刷物」をキーワードとして、これまでにデザインに関わってきた数々の印刷物をインスタレーションした個展である。ギンザ・グラフィック・ギャラリー中に、所狭しと立花ワールドが展開しまくる展覧会となっている。
アート作品でも、デザインワークでも、自分でそのような作品は創れないとしても、そこからその発想やモチベーションが出てきたのかは、およそわかる。言いかたを変えれば、そのきっかけとなる意識の断片のようなモノが、作品の中にちりばめられているからこそ、作品を通して、作者と見ている者との間でのコミュニケーションが成り立ち、なんらかのメッセージが伝わるワケだ。
しかし、立花氏の作品は、およそその発想がどこから出てきたのか、皆目見当がつかないモノが多い。まるで、異次元の宇宙からのメッセージのような部分がある。それでいながら、ちゃんとコミュニケーションは成り立ってしまうというのが、なんともものスゴい。なにか、見る人が、自分自身気付いていない潜在意識下の何かに訴えかけるかのようである。、
多分、同じ世界を見ていても、立花氏に見えている世界は、我々に見えているそれとは大きく違うのだろう。だが、見ている対象としての世界が共通しているからこそ、コミュニケーションが成り立つ。なにか、縄文時代の土器や遮光器土偶は、現代人にとって、そのエネルギーは感じ取れても、そこに表象されている価値観までは読み取れないのと似ている。そういう根源的な情念とは何かを考えさせられる展覧会だ。



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東日本大震災の影響で、今週は施設の休館が相次ぎ、また交通機関の運行も乱れているため、今週のGallery of the Weekは、勝手ながら休載とさせていただきます。悪しからず。



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shiseido art egg vol.5
川辺ナホ展
資生堂ギャラリー 銀座

資生堂ギャラリー恒例の、「shiseido art egg」。その第5回も、今月で打ち止め。しんがりは、川辺ナホ氏である。今回もギャラリー全体が一つの作品とも言える、4つの作品からなるインスタレーションである。ギャラリー全体が照明を落とし、闇の空間となる中、光と陰で構成された作品が、「世界」を作り出している。
個々の作品も、それぞれ独立に成り立っているし、独立に「味わう」ことも可能である。しかしこれは、全体としてとらえ、隙間の「闇」も含めて、ギャラリーの空間全てが演出されていると考えた方がいいだろう。とにかく、入り口の階段のところから、闇の中に入っていくだけで、なにか異次元の妖気の気配をかんじてしまうかのようだ。
それはそれとして、今回の「shiseido art egg」、全体を通して感じるのは、やはり「アートの新しい次元」ということではないだろうか。これに限らず、この半年ぐらいの意欲的な作品や展覧会に強く感じることだが、なにか、十数年来のモヤモヤした混迷から、スッキリと抜け出した感じが伝わってくるものが多い。
それは、デジタルというのは「安くて・速くて・大量」なだけで、付加価値にはならないという認識が、マジョリティーになったことに基づいているのだろう。まだ、それが日本社会全体に共有されたわけではないが、明らかに物心ついた頃にはデジタル社会になっていた、若い世代にとっては、デジタルとは最も日常的な「ケ」の世界である。このままいけば、10年代はけっこう面白い時代になるのでは。



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第4回グラフィック「1_WALL」展
ガーディアン・ガーデン 銀座

「1_WALL」展も、はや4回目。作る側にも見る側にも、新しい試みの意図がすっかり伝わり、「1_WALL」展なりのスタイルが出来上がってきた感があるが、今回もグラフィックからの幕開けである。毎回「その時々の旬」を感じさせる作品が選ばれているところが特徴だが、今回は、別の意味で今を感じさせる作品がそろった。
そのカギは、今回のファイナリストとなった作品群が、今までになく「アート」を感じさせる作品というところにある。今までの「グラフィック「1_WALL」展」は、その名の通り、デザインやイラスト系の作品が中心となっていた。しかし、今回は作者の立ち位置が、極めてファインアートに近い作品があふれている。会場の雰囲気も、いつもとちょっと違う。
ある意味、アート作品をアート作品としているのは、一般常識としての意味性を否定し再構築しようとするモチベーションにあると思っている。メッセージ色をストレートに表した絵画はプロパガンダにしかならないが、メッセージを発しているように見えて、実はその内容は「おやじギャグ」レベルという作品はアートである。
こういう「意味性の否定→再構築」というプロセスを、直接・間接に感じさせる作品を作る若手作家がこれだけ集まっているというのは、実に久しぶりという気がする。世の中の情報化・ディジタル化が進み、バブル期以来、そのテンポに、表現というものが翻弄されていた。それが、やっと本来の位相に戻ってきた。そういう意味では、21世紀の新たなティケイドにふさわしいといえるかもしれない。。



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