Gallery of the Week-Dec.15●

(2015/12/18)



12/3w
秦万里子展
ギャラリーG2 銀座
地道なママさんコーラスの参加型ライブから、中年主婦の日常と悲哀を面白おかしく唄ったオリジナルソング、はたまた芸人顔負けのテレビでの露出と八面六臂で活躍中のアーティスト、秦万里子さんのアートでの2回目の個展。表現することが生活の一部分となっている、彼女のマルチアーティストぶりがここでも発揮されている。
会場は前回同様、銀座の古いビルをそのまま活用したギャラリー。狭い会場の壁面一杯に、彼女が「ほとぼしらせた」作品群が所狭しと展示されている。彼女曰く、思うがまま、興にのるがまま作ったというその作品は、比較的絵画に近い形式が多かった前回に比べると、ミックスド・テクスチャーの立体作品が多く、奔放な発想が一層光っている。
驚くのは、作品のモチーフ、様式とも、前回と全く違う点である。これはまさに、その瞬間に思いついたイメージを、そのまま形にしていった証であろう。通常、特定のアーティストの作品いは共通するスタイルがあり、それにより作者を識別できるということになろうが、発想の奔放さがアイデンティティーになっているというのはある意味スゴいことである。
そういう意味では、次回の個展は一体どういう攻め方でやってくるのか、大いに期待されるところである。それは彼女自身を含め、ヤってみなくてはわからないというのが正解だろう。ある意味、彼女にとってアート作品作りは「趣味の自己表現」的なところがあり、それがモチベーションになっているようなので、次回もやってくれるに違いない。



12/2w
駅弁むかし物語―お弁当にお茶―
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 新橋
12月の上旬は、ギャラリー関係は年末年始の特別展に向けた展示入替の時期で、端境期。やっているものが限られるので、多少内容的には片寄ってしまうかもしれない。ということで、始まったばかりの東日本鉄道文化財団の鉄道歴史展示室の展示を訪ねてみた。今回は、おなじみの駅弁にスポットライトを当て、駅弁とお茶の歴史を振り返る展覧会となっている。
駅弁の始まりは、公式には明治18年に宇都宮駅で売り出された握り飯ということになっている。この年からカウントすると今年は130周年ということで、その記念のイベントともなっている。展示内容は、駅弁に関連する歴史資料、いにしえの駅弁の包紙、陶器製の弁当容器とお茶の土瓶という構成になっている。
中でも圧巻は、門馬コレクションと呼ばれる駅売りのお茶の土瓶のコレクション。好事家が、昭和30年代に実際に日本各地を訪ねてコレクションしたものであり、当然ながら保存状態も良く、資料として貴重なだけでなく、当時の実用陶器の様子を今に伝える稀有な存在である。捨てられる運命にあるものを、キチンと体系的に集め、整理・保存する。そこから新たな価値が生まれてくるというのは、まさにコレクションの醍醐味であろう。
展示によると、駅弁の最盛期は、1970年代前半のディスカバー・ジャーパンの時期だという。確かに、この時期蒸気機関車の撮影で全国を廻っていたが、駅弁は良く食べた。というか、当時は地方の外食事情がまだ悪く、主要駅の駅前こそ大衆食堂はあるが、そこを一歩はズレてしまうと、駅弁を買って持っていかないと。飯にありつけない。そう考えると、駅弁の衰退原因は、外食産業の充実ということなのだろう。



12/1w
マカオのアズレージョ -ポルトガル生まれのタイルと石畳-展
LIXILギャラリー 京橋
中国の経済発展とともに中国人観光客を集め、東洋のラスベガスとして、カジノを中心にテーマパークシティーとして発展を遂げているマカオ。その基本コンセプトは、ポルトガルのコロニアル文化と、中国南方の古き良き伝統の融合にある。これはまた、現代中国人にとっても、エキゾティックなイメージを醸し出すものとなっている。
そのパチ作りのポイントとなっているのが、ポルトガルの伝統を取り入れた「アズレージョ」というタイルと、「カルサーダス」という石畳である。この展覧会は、マカオの「今」を彩る、街中の「アズレージョ」「カルサーダス」を写真展として紹介する。もちろん、ポルトガルが租借していた時代からこれらの装飾は使われていたが、今街中で見られるものの多くは、97年の返還以降の街づくりの中で広がったものである。
確かに中国大陸が「竹のカーテン」と呼ばれた冷戦時代、中国の中でも西側の観光客が訪れることができるのは、台湾、香港、マカオだけであった。しかし、その中でもマカオは、観光地としては貧弱で、香港を訪ねた人がギャンブルを楽しみに行くところというイメージしかなかった。
それが今のような観光都市としての地位を確立できたのは、やはり中国資本による開発の波が大きかった。その中で、資源としてのポルトガルの伝統が見直され、街を演出するツールとして活用されたというのは、事例としていたって面白い。「カルサーダス」に至っては、わざわざポルトガルから石を輸入して建設されたという。伝統もまた「作って」しまえるというのは、いかにも中国的といえば中国的ではあるが。




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