Gallery of the Week-Nov.98

Nov.1998



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宮廷の栄華「唐の女帝・則天武后とその時代展」 東京都美術館

今週は中国シリーズの四弾目。こればっかりだね。まあ、国交回復記念で江主席も来てるわけだし。でも見れるときに見ておかないと。今回は唐代を中心とする、考古遺物中心の展覧会。仏教芸術と工芸作品が中心。美術という意味ではちと違うかもしれないけど、工芸作品には初見参の逸品も多く、唐三彩などなかなか良し。出てきますね。しかし中国にはどれだけ博物館とか、資料館とかあるんでしょうね。まだ埋まってるのも多いだろうし。一生かかっても見尽くせないぐらいのお宝があるのは間違いないところ。しかし、中国の博物館といえば、秦の始皇帝展を東京でやっているときに西安の歴史博物館行ったんだけど、東京で出品してある収集品は、別のを出さずに、空のショーケースのままなのね。そのときは偶然東京のを見てから行ったので、点々点々と、そこにあるべきものを思い出して、アタマの中で埋められたけど。今も、あちこちの博物館で「穴」があいてるんだろうと思うと……。


11/3w
「吉祥展」中国美術にこめられた意味 東京国立博物館
「大黄河文明展」 東京都江戸東京美術館

今週は中国シリーズの三弾目。東京での会期終了間近なので、イレギュラーな更新で二発連続。「吉祥展」は日本の美術館が収集する、古い時代に舶載された中国美術品をベースにした、吉祥文様をテーマにした展覧会。「大黄河文明展」は中国の河北省博物院が所蔵する、地元発掘品を中心にした展覧会。と、それぞれテーマや由来は違うけれど、怒涛の勢いで並ぶ展示品に恐れ入るばかり。必ずしもその国を代表するコレクションがベースではないのに、これでもかとばかりに展示ができてしまうというところに、とにかく中国文化の深さ・幅広さがまざまざ。根津美術館とか、五島美術館とか、そのくらいの規模だと、一点一点充分目が行くレベルのモノも、これだけスケールで並べられると、これはこれで得も言われぬ充実感がある。まさに皇帝のコレクションの醍醐味とは、このスケール感であろうか。


11/2w
宮下マキ個展「部屋と下着」ガーディアン・ガーデン 銀座

宮下マキ、いやまたスゴい写真家が現れてきた。いつも言っているように、男というモノ、寸分の隙もなくビッチリとキメた美人には、本音では興奮できない。取りつくシマがないからだ。そういう女性に出会っても、口先はさておき、真性M男ででもない限り「圏外」である。その一方、どことなくダラしなくて隙間だらけの女性には、理性はさておき、下半身はたちまちアンテナ3本立ちまくりだ。この本性をするどくとらえ、建て前と本音の隙間で、「エロ雑誌におけるヌードより欲情するポートレート」により鮮烈に自己世界を構築したアラーキー。彼女の作品との出合いは、70年代末の白夜書房の雑誌のグラビアを飾ったアラーキー作品以来、いやそれ以上のインパクトがある。アラーキーはまだ「フィクションの中での本音」という逃げ場があった。しかし、この「部屋と下着」の作品では、モデルたちの生身の本音がぐいぐいせまってくる。このリアリティー、この欲情させられ方はなんなんだ。おまけに作者は女性なのだ。女性たちがこの男性の本音を周知の事実としたとき、虚構の「いい女」「美人」の神話は消え、男たちは完全に女性の奴隷となるだろう。男たちの「欲情コントローラー」は完全に女性たちの手の中に握られてしまうのだから。彼女の作品はその日へ向かっての、男性への宣戦布告のようにも見える。大ブレイク間違いなし。必見。


11/1w
「甦る! 消えた中国皇帝の秘宝」三越美術館 新宿

ということで中国モノの第二弾としては、現在中国南京博物院所蔵になっている南遷文物からの展示。何かものスゴいモノが、突然発見されたような物言いだが、戦時中疎開されていた文物は、日本の敗戦後、当時中華民国の首都だった南京にひとまず集めれ、そこから国民党政権とともに、台北に銘品中の銘品である一部だけが移送された。その他の財宝の多くが残され、北京の故宮博物院の整備とともに、少しづつ移送されたのは有名な話。これは日本では知られていないかもしれないが、故宮の歴史の本を読めば書いてあること。あまりに仰々しい言い方もどうかと思う。そういう意味で最後まで残った財宝が、今も南京にあるということなので、巨大だったり、比較的新しかったりするコレクションが多い。その分素人向きとはいえないが、通常の故宮展では余り出てこない清代の新しい作品も多く、マニアには新鮮な面もある。それにしても、このタイトルは何とかしてもらえないか。いくらTBS主催といっても、これじゃテレビ番組のタイトルだ。せめて「!」はやめて欲しかった(笑)。


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