無意味に望遠 その5 -1972年7月18日-


一旦シリーズ化すれば、ネタが尽きるまでとどまるところを知らないのが、このコーナーのヤバいところ。特に、この「無意味に望遠」シリーズは、サブカメラの望遠レンズで撮影した列車を、ひたすらシーケンシャルに掲載するというミーシーな企画だけに、あまり考えなくてもネタを作れてしまうのがミソ。といっても、こういう形でサブカメラに望遠レンズをつけて無駄に乱写してたのは、せいぜい71年〜72年の2年間なので、絶対的なコマ数は限られている。そもそも写しても、今まで全く使ってないし、実際上40年経ってはじめて見るカットもあるんだから、こういう撮り方をヤメたというのは、判断としては間違っていなかったともいえる。無駄にシャッター押しても、使えるカットは限られているのよ。モードラで連射かけても、タイミングを外すことはあっても、いいカットを複数押えられるなんて可能性は皆無なんだからさ。



さて、7月16日の栗山-栗丘間に続いて、17日は旭川から宗谷本線、戻って苗穂機関区というスケジュールで、撮影環境からして。サブボディーと望遠の出番はなし。次のカットは早くも最終日、18日の函館本線大沼付近です。当然札幌から夜行で入って、東北本線の夜行に乗り継ぐ連絡船まで、日がな一日の撮影です。まずは、大沼駅南側のおなじみのお立ち台から遙か遠方を望み、大沼の湖尻に近い湖水沿いを走る貨物列車を狙います。機関車は、五稜郭機関区のD52138号機。今、偽の235号機になって保存されているヤツですね。これだけ望遠で引っ張ると、各種標識や信号といった鉄道施設、潅木や背の高い草などが要所に引っかかり、なかなかシャッターチャンスがないことがよくわかります。


振り返って(といっても何分も後ですが)、先ほど撮影したD52牽引の貨物列車が大沼駅に進入して行きますその脇から、D51の単機回送が出発して行きます。残念ながら、この単機回送はメインカメラでもアップを撮っていないので、機番がわかりません。よく見ると、プラットホームには下りのキハ22単行が停まっています。望遠で圧縮された線路配置も含めて、模型のジオラマを思わせる雰囲気で、なかなかグッとくるものがありますね。ところで、このD51のところの分岐、ちょっと前に貨物列車が脱線して、例の過剰スラック問題が発覚した問題の場所です。きっと、この頃からユルかったんでしょうね。この区間では、歴史的にもD52が一番横圧が高そうですから。


こんどは大沼駅の北側での撮影です。五稜郭機関区のD511153号機の牽引する、上り旅客列車。このカーブもおなじみの撮影地ですが、こうやって望遠で圧縮すると、あまり北海道らしさを感じさせないですね。まあ、もともと渡島半島は本土に近い植生ですし、北東北なんかともそんなに違和感がないのですが、レイアウトにも取り入れたいような雰囲気です。5輌編成の客車というのも、模型にしても手頃です。それでもちゃんと荷物車(スユニ61みたいですから郵便荷物車ですか)がぶるさがっているのが、北海道らしいといえばいえるでしょう。本当に、北海道の暮らしは鉄道が支えていたのです。


「お立ち台」から南方面を俯瞰したカットで何度も登場している、大沼駅の場内信号機のところでの撮影です。機関車は、D52204号機。D52は全機五稜郭機関区所属ですので、配属先は以下省略します。実は、D52ってけっこう好きなんですよ。最初に意識して写真を撮った蒸気機関車も、D52だし。このシリーズの「広島・昭和40年夏(先史遺跡発掘シリーズ その4) -1965年8月-」で掲載した、広島駅1番ホームでの写真です。こうやって真正面から見ると、16番のD51は、D51とD52の中間ぐらいのボイラの太さがあることがわかりますね。ちゃんとしたスケールもののD52の模型も、早く出てほしいところです。


大沼駅を出発する、D51牽引の上り貨物列車。さすがに、ここから撮るとメインボディーのカットも、駒ケ岳を入れた引きのカットになりますから、機番が読み取れません。どうやらテンダーが標準型ですので、長万部機関区のカマでしょうか。この当時、五稜郭機関区は6輌中5輌が船底テンダーの戦時型である一方、長万部機関区には、戦時型は1輌も配属されていないという状況でしたから、それだけはわかります。このときは、東京から持っていったTRI-Xを使い切ってしまい、サブボディーには現地調達したネオパンSSかなんかを使わざるを得ない状況でした。今回のカットは、粒状性やコントラストが悪いのはそのせいです。このころは日米を比べると、やはりまだまだ圧倒的な技術差がありました。


当時撮影に行くと、決して列車運・機番運がいいワケではなく、まあほどほどだったとは思うのですが、「ここでこいつが来たら最高」とか「ここでスカッと晴れてくれれば最高」ってカットは、そうはありません。そのかわりといってはナンですが、けっこう変なモノがやってくることに関しては、なかなかアタりを引くことが多かった気がします。これもそんなカット。D52202号機+D52414号機。一見重連に見えますが、この区間ではそんな運用はありません。次位の414号機は、実は無火回送です。でも、迫力は充分。D52が2輌連なった姿なんて、そうは見れません。正面カットはぼくにしては珍しく「お立ち台」から押えていますが、やはり名残惜しく、グイっとカーブを廻り込んだところで、望遠での見返りのショットまで撮ってしまったという次第です。


さて、最後のカットはこれまた最初のカットと同じ「お立ち台」からの撮影です。まあ、ここからだと標高がある分、遠くまで見えちゃうんですね。さすがに、朝とは光線の状態が変わり、山肌もくっきりと見えています。機関車は、この写真からはわかりませんが、後のカットから読み取ると、梅小路に保存されているラストナンバー、D52468号機です。五稜郭機関区のD52形式は、北海道にしては珍しく、比較的オリジナルの原型を保った機番が多く、美しいといえば美しいのですが、考証には一苦労です。この時北海道に行ったの狙いが、北海道に残っているライトパシをできるだけ多く撮ることと、このD52型機を撮ることでしたから、それなりの成果はあったということでしょう。



(c)2013 FUJII Yoshihiko


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