「ヒルマ」の風景


16番ないしはHOスケールの日本型ストラクチャーというと、最近でこそ各種増えてきましたが、数年前までは、ほとんどヒルマモデルクラフト製のレーザーカットのペーパーキットの独壇場という感じでした。ヒルマ製のキットは精度が抜群で、 接着剤を使わなくても、ホゾの組合せだけでかっちりと組めてしまうところは魅力ですが、独特の「ヒルマ節」とでもいえるようなデザインポリシーは、人によって評価が分かれるところでしょう。しかし、この「独自のデザイン」ゆえに、スケール感が甘く、1/80でも1/87でも違和感なく使えてしまう点は、HOスケールをやっているものにとってはプラスです。さらに、模型店の店頭で見る完成見本の違和感は、かなりの部分、その色使いによって生み出されているものがあり、塗装仕上げのやり方や、若干の加工を施せば、かなり見栄えのするストラクチャーに生まれ変わります。12mmを始めて以来、将来のレイアウトでの利用を考えて、ヒルマのストラクチャーもいろいろ組みました。特に駅廻りについては、一つの駅の施設として違和感がないように、トーン・アンド・マナーを揃えてあります。と思って、全体を振り返ると、けっこうな種類組んでいるんですね。そろそろセクションでも作り始めるかな。



まずは「農業倉庫」から。これは、ストラクチャーとしてもかなり大きめの建坪です。こういう建物は、道路際にある場合と、貨物側線に接してある場合とがありますが、このレベルの倉庫が接する側線となると、かなり大規模、急行停車駅で貨物の引き上げ線を持っていたり、専用線を持っていたりというクラスになってしまいます。ということで、道路際においてみました。白壁と羽目板の仕上げにしましたが、この感じだと造り酒屋の酒蔵にしてもいいかもしれません。羽目板の塗装は、アクリルラッカーの「熟成した筆洗い液」を利用した、ぼくの標準技法です。


次は、その名もモロ「駅舎」。これまた仕上げをどうするか、なやましいところですが、幕板(っていうのかね、建築物も)が広いところが、微妙に南九州の駅舎っぽいので、それを活かして、肥薩線とかでよくみる感じに仕上げてみました。レイアウトを作るとしたら、霧島を巡る鉄道、日豊本線、吉都線、肥薩線の3線をミックスしたようなモノ、というのが、出戻り前の学生時代からの夢でしたので、ジャスト・フィットといえるでしょう。駅名も、「鹿児島県姶良郡吉松町」の郡名から来ている、これまた学生時代から「使い慣れた」モノですし。この写真の効果から、「ストラクチャーには照明がなくちゃ」ということになった記念すべき一枚です。エクセルで作り、縮小した時刻表は、全てちゃんと時刻と行き先が入っているんですよ。


同「駅舎」の線路側。九州の駅といえば、なくてはならないのが、中に蛍光灯が入っている、三角柱型の行灯式駅名標。蛍光灯に合わせたサイズなので、そんなに古い歴史があるものとは思えませんが、なぜか九州でしか見ません。夜行で九州に入り、この明かりが見えると、九州にやってきた、という気分が盛り上がったのを、昨日のように覚えています。これも、パソコンとプリンターで製作しました。正面の駅名看板や、入口・出口のホーロー看板も、同様にパソコン製です。この手のモノは、パソコンとカラープリンターの利用で、本当に作りやすくなりました。軒の梁のような部材は、ギリギリのサイズで組み合わせる上に、切り込みの部分が相対的に弱くなっていますので、無理して押し込むと変形する可能性が高く、低粘度の瞬間接着剤をしみこませ、ヤスリで嵌め合わせを調節してから組んだほうがいいでしょう。


「大きな貨物駅」。これもその名の通り、相当に大きな建物です。これこそ、レイアウトに使うには、専用線が必要かもしれません。しかし、昭和40年代では、まだ鉄道が貨物輸送の主流でしたから、駅の規模はそこそこでも、けっこう立派な貨物扱いの施設があるところも、けっこうありました。こいつのポイントは、ストラクチャそのものよりも、ターレットですね。ふと思いたって、インターネットで資料を集めて、ジャンク箱の中から材料を探り、1時間強ででっち上げてしまったものです。得意の「なんちゃって」ですが、黄色く塗ってしまえばこっちのもの(笑)。ところで、ターレットなんて作った人、何人ぐらいいるんでしょうか。こういうのに凝りだすと、「動くテルハ」とか作りたくなっちゃうんでしょうね。きっと。


「待合室」と称していますが、ホームに置いて見ると、どう見ても駅長事務室にしか見えません。まあ、ホーム上の施設という意味では、どちらでもいいのですが。これも製作時期は違うのですが、トーン・アンド・マナーは揃えてあります。プラットホームは、いさみやの「レジン製擁壁」を利用して、試作的に作ったもの。この感じだと、都城とか隼人とか、もう一回り大きい急行停車駅でしょうか。ヒルマのキットは、一時、いろいろなところでセールの目玉商品として叩き売られていたのを買ったので、意図や目的を持って選んだというより、あったから買った、という感じで入手したものがほとんどです。まあ、持っていれば、どっかで何かに使えるでしょうから。


これは珍しく、鉄道施設ではありません。タクシー会社にしてありますが、「駅前バス営業所」、それもモデルワム発売の1/87仕様のキットです。組むだけ組んでおいたのですが、「晩秋のジオラマ」を入手した際、1/80のキットを組んだものがついてきてしまいましたので、ちょっと大き目のタクシー会社の車庫にしてみました。この現物はその後、社名を変更して、HOMPの「駅前商店街」モジュールに組み込み利用しましたので、ごらんになった方もいらっしゃると思います。クルマは、食玩「温泉シリーズ」のタクシー。日野ルノー4CVです。ちょっと時代的には古い(昭和30年代前半〜半ば)ですが、新しいものよりは、古いもののほうが、雰囲気という意味ではつぶしが効くでしょう。しかし、ルノーが日産の親会社となり、日野はトヨタの子会社になるとは、この頃、だれが予想したでしょうか。


最後は「延長用ホーム」と「ホームの陸屋根」の組合せ。このレベルになると、幹線の主要駅クラスでしょうから、そういう雰囲気でまとめてみました。昭和20年代の本線系の特急停車駅、というところでしょうか。芸風ではないのですが、こういう車輌も、持っていることは持っています。というより、昔、16番を始めた頃の「少年ファンの夢」が、このあたりなんですね、やっぱり。151系こだま号や、0系新幹線でないところが、なんともイヤな小学生(笑)。「三つ子の魂、百まで」ということなのでしょうか。蒸気好きなのは変わらないのですが、狙いどころは亜幹線になってしまいましたが。この他にも、機関庫のセクションで利用している複線機関庫、作業員詰所、小さな倉庫、石炭台、駅に付随するトイレや信号テコ扱い所など、まだまだ作ったストラクチャはありますが、このあたりは日記の写真に写っていなかったもので。


(c)2007 FUJII Yoshihiko


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