都電28・38系統 門前仲町 -1971年9月15日-


本シリーズ3度目の登場となる、東京都電。今回は場所を下町に移して、門前仲町を行く28系統と38系統です。28系統は錦糸町駅前〜日本橋、38系統は錦糸堀車庫〜日本橋を結ぶ路線で、どちらも1972年11月の、路面から都電が消える日まで営業を行っていました。特に38系統は、専用線と専用橋で知られ、ファンも多かった路線です。東京育ちとはいっても、山の手に住んでいると、隅田川の東側に行くチャンスというのは、なかなかありません。そんな中でもこの写真は、高一の文化祭に出展する組写真(当時ハヤっていた)の中で、埋立地のカットが欲しくて、「夢の島」に撮影に行った途中で撮ったものです。当時は、夢の島は、まだゴミ捨て場として現役でした。さて画面を見ると、またもや旗日(!)。都電の写真は、なぜかみんな旗日ですね。撮影に行ったのは71年の9月ということは記憶しているので、この日は9月15日の「敬老の日」と判明します。旗日とか、月日が特定できる要素が写り込んでいると、考証が楽でいいですね。



まずは、錦糸掘車庫行きの38系統、6000系6107号。大型の方向幕に改造されていますが、これだけでずいぶん印象が変るものです。都電と並走するクルマは、マツダのファミリアロータリークーペです。これはけっこう珍しいかも。それ以上に、ベージュのボディーに水色の帯がなつかしい、いすゞエンジン・川崎重工ボディーの「都バス」の方に目を惹かれるかたも多いかも。自転車のアンちゃんが着ているのは、一見Tシャツ風ですが、これは下着の「丸首シャツ」ですね。この辺にも、「70年代初期の下町と」いう風情が漂ってきます。


続いてやってきたのは、28系統の3000系3104号。この位置関係からすると、この電車は錦糸町駅前行きのはずなのですが、方向幕を変え損ねて、日本橋行きのままです。まあ、後位側なので、それほど問題がなかったのかもしれませんが、撮ろうとして撮れるショットではありません。それにしても、この交通量の少なさはなんでしょうか。休日の真昼間ということもあるのでしょうが、道路の広さを改めて実感します。その分、この時代の街並の様子がよくわかります。しかし、北海道拓殖銀行に東京相互銀行。どちらも、破綻してしまった今となっては、過去の歴史そのものですね。


こんどは、正真証明の日本橋行き。38系統の6000系6147号です。信号待ちで轡を並べているのは、奥からセドリックのタクシー、コロナ、スカイライン。当然、このネガも自分で現像したのですが、この時は処理に失敗しなかったようで、けっこう細かいところもキチンと写っています。横断歩道の向こう側の傘屋さんの、半分曲がった看板や、チラリと見える下見板張りの側面。その下に見える、全員集合・男はつらいよシリーズの映画ポスター。こういうところにも目がゆくのが、路面電車の写真の面白いところですね。


さて、このときの都電の写真は、この3カットしかありません。もともと、別の目的の撮影で出かけた「行きがけの駄賃」ですから仕方ないところですが、これだけではちょっと寂しい。ということで、ネガの中を探したら、トラック関連の、ちょっと面白いカットが出てきました。鉄道車輛以上に、ストラクチャーやクルマ、人形のほうが興味があるんじゃないか、という一部でささやかれている疑惑を、さらに深めるような墓穴ですが、ま、楽しんでください。まずは、なんとトヨタの大型ボンネットトラック。昔は、トヨタブランドの大型車もあったんですよ。無意味な流し撮りですが、一応ボンネットのロゴのところは、ちゃんと止まってますね。でもこれ、15歳の時ですからね。大目に見てください。電車や優等列車、クルマといったモノは、けっこう流し撮りがあるのですが、SLだけは失敗したときのリスクが大きすぎるので、ほとんど流した作品がありません(あるのは、高島線での練習と、そもそもシャッターが切れない早朝、夕方のカットだけ)。背景で流れている都バスが妙にリアルです。


最後もボーナスカット(笑)で、江東区内の工場の駐車場で撮ったもの。基本的にボーナスカットは、遠慮気味に一回り小さな画面でお届けします。この時代としても、けっこうレアなトラックが並んでいますねえ。一番左は、トヨタダイナの古いタイプではないでしょうか。そのとなりのナンバーがなくなっているのは、最初期型のいすゞエルフ。日産ディーゼルのキャブオーバー・ロングボディーは、さすがに現役バリバリのようです。そして、一番右には、皆さんの大好きなマツダK360。71年の23区内には、まだこんな連中がいたんですね。トラックはさすがにそれほど詳しくないので、間違っているかもしれません。さてこの兄弟。当時で、8歳と5歳ぐらいでしょうか。今は立派な40オヤジになっているんでしょうね。


(c)2005 FUJII Yoshihiko


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