「なんちゃって」な視線


「「夢」を大人買い -今月のホビー日記-」に出てくる写真は、ジオラマやモジュールをお立ち台にしたものも多いのですが、その場でストラクチャーやら樹木やら、はたまた地面や背景とか、適当に配置して撮影した「フォトセッション」のほうが、数的には多く登場しています。それらの大部分は、基本的には製作した車輌やストラクチャーなどを、より「らしく」撮ろうという気分で演出したものなのですが、中には、ある種ウケ狙いで撮影したものもあります。実物の風景やカットを念頭に置きつつ、それらを「模型を使ったマンガ」にしてみたような写真。しょせんは「なんちゃって」なのですが、自分としてはけっこう楽しいもの確か。手軽にやったものから、かなり小道具を用意したものまで、いろいろありますが、笑いながらあたたかい目でみていただければ幸いです。はい、あくまでもウケ狙いですから。



すでになんとも告白しているので、完全にネタバレですが、肥薩線の八代-人吉間、通称「川線」は、蒸気機関車末期「SLブーム」の頃、蒸気機関車が残っていた線区の中でも、最も景色や雰囲気が好きな撮影地でした。「函館本線山線のニセコ」とか「伯備線布原信号所」とかいった、横綱級の人気撮影地ではありませんが、なぜか強く惹かれるものがあり、中学三年のときの、最初の撮影旅行からすでに足を伸ばしていたりします。その時、ぼくがすでに川線のコトを知っていたことからもわかるように、雑誌等では、それなりに撮影地情報は流れれていました。そんな川線のピカイチの撮影地といえば、渡-那良口間の「球磨川第二橋梁」ではないでしょうか。ここは今でも、川線を紹介する記事には決まって登場するカットです。ということで、そのイメージを「なんちゃって」にしてみました。橋の取り付け、肥薩線と国道219号線の間には、小さな丘があるのですが、その上から俯瞰したところをイメージしたカットです。


実際の「球磨川第二橋梁」は、アメリカからの輸入品で、日本の土木工学史上に残る、かなり特殊な構造を持ったトラス橋です。厳密につくるととても大変なのですが、Noch製のトラスブリッジのキットは、最初店頭で見たとき、ちょっとひらめくものがありました。かなり違うことは違うのですが、「なんちゃって」な範囲の瞬間芸なら、あの独特のくすんだローズ色に塗れば、雰囲気が出ないこともありません。ということで、製作開始。とはいえ、連続するガーダー橋をアトラスのキット改造で作ったり、両者をつなぐ橋脚を、Noch製の橋脚を改造して作ったりと、けっこう手間がかかってしまいました。ということで、国道219号線をさらに下って、川の対岸から撮ったところをイメージしたカットです。


まあ、決して似ているわけではないのですが、一瞬雰囲気が出ているかどうかに賭ける、ある種のものマネ芸のようなものと思っていただければ幸いです。現地を知っている人なら、笑っていただけるでしょう。地形とアクセスの関係から、ここでの「お立ち台」は、国道の先の河原から撮る北側のポイントと、線路に沿っている細い道から河原に降りて撮る南側のポイントと、二箇所しかありません。今度は、南側の「なんちゃって」をやってみたいものです。それより、全体をウマく縮小して、ジオラマにしたいんですけどね。でも、これやると、ジオラマ一つで下手なレイアウトより大きくなっちゃうだろうし。


これも、相当な「なんちゃって」ですね。自分で撮影した実物の写真を、模型で再現する「自己パロディー」。「記憶の中の鉄道風景」に載せた、梅小路のC62の写真が元ネタです。各なる上は全部バラしますが、カメラのレンズの大きさと、最短接写距離の問題があって、多少「引き」の構図しか取れなかったのが、ちょっと残念なところでしょうか。まあ、もともとマジではありませんから、こんなモンでもよろしいでしょうか。日本型蒸気の特徴のひとつが、デフレクタの板厚の薄さですが、やはり模型では、キビしいものがあります。デフの厚みのみならず、スワローマークの厚みも相当目立ちますね。これなら、HOでも印刷で仕上げたほうが、スケールには忠実なんでしょうね。ところでこの構図、16番だと、ボイラーの太さとランボード幅の関係で、こんなふうには撮れません。20年前のモデルながら、PEMPのC62は、やはり半端じゃないですね。


カトー・ウッドランドシーニックスの樹木キットの幹を見ていたら、3月の北海道って、こんな感じの木が雪の中に顔を出してるよね、ってふっと思ってしまいました。思いついたら、あとはやるだけ。フォーリッジをつけずに、枝だけを広げて、芽吹く前の木にし、白い木綿布の上におけば、ほらほら、春の北海道の雰囲気。細かいところは、被写界深度でゴマかし、ぼかしをかければOK。とはいえ、北海道モノは芸風外なので、登場できるのはC62しかない。オマケに当時は2号機しか持っていない。と、ここからがアイディア勝負。テンダーと正面を連結させちゃえば、いかにもニセコ本務機のアップという表情。1台が、2台分楽しめます。てなことで、けっこうこういう写真あったよね、という構図になりました。


これも、発端は小物から。天賞堂製の16番用ヘッドマークには、「EF66用」と称する、通常のヘッドマークより一割ほど小さめヤツがある。通常のヤツと並んでショーケースに展示してあったのを見ると、にわかにひらめく。「これ、1/87にちょうどよさそう」。ということで、さっそく買って帰り、試してみたのがこのカット。蒸気時代のブルトレに使えそうなのは、「あさかぜ」と「みずほ」。これなら、図柄もサイズもぴったり。となると、場所は光とか下松とか、山口県の瀬戸内海沿い(余談ながら、父方の先祖はあのあたりの出身)。そこから先は、まったくイメージだけでのセットアップ。ま、この右側に、風光明媚な瀬戸内海が広がっている(つもり)。厳密に言えば、このC62、宮原仕様なのだけどね。これも、つもりで。


今回最後は、9600の逆行重連。ご存知、後藤寺-船尾間をイメージしたかったんだけど、ボタ山がうまく作れず省略してしまったので、なんかイマイチですね。川線でつかった小道具そのままで、バックを変えただけです。「なんちゃって」としては失敗ですが、こういう風に写しても、ちゃんと「九州の9600」に見えるのが、12mmのいいところ。テンダーの形態や短軸・長軸の違いも、効果が出ているし。16番の9600は、昔何輌も作ったけど(今でも持ってますよ、もちろん)、本来ガニ股の影響がないはずのサイドビューでも、なんかプロポーションがアメリカ型のコンソリを思い起こさせるんだよね。天賞堂製は、多分それがルーツなんだろうけど(爆)。


(c)2007 FUJII Yoshihiko


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