登別の海と山 その2 -1975年7月20日-


今年2020年から始めたこた現役蒸気最末期シリーズも、結構続いてしまっている。最初はおっかなびっくり少ないカット数で開始したが、結局カラーになったというだけで元々のシリーズとあまり変わらなくなってしまったような気も。とはいえこの時期は相当に気合が抜けてしまっていたので、かなりユルいカットの連続で「撮りました」という感じだが、これもまた事実上北海道しか蒸気機関車が「活躍」する線区がなくなってしまったことの反動だろうか。この時期にやっと間に合ったというぼくより一回り若い世代の人達は、相当に気合を入れて青函連絡船に乗船したとは思うが、こちらは「まあ、一応撮っておこう」という感じ。昭和30年代から活躍していた先輩の趣味人の方々の話を伺うと、末期のいわゆる「SLブーム」自体をそういう目で見ていたことがわかる。そんな気持ちがちょっと分ける経験ができたというだけでも、最後の1年はそれはそれで意味があったのではないだろうか。さてこの最後の撮影旅行、最後の最後になっていろんなオチがあったことに実は今回初めて気が付いたりして。それも含めてご披露します。



前回が山の方から太平洋を望むカットが中心だったのに対して、今回は線路の側から山を望むカットが中心。午後になると海バックはモロ逆光になっちゃう線形なので、降りてきたものと思われる。今回の1カット目は、登別温泉の裏にそびえるオロフレ山を望む、虎杖浜の町の登別寄りで撮影した下り旅客列車。牽引しているのは、岩見沢第一機関区のC5738号機。こうやって見るとこの線路脇の草地、いかにもウッドランドシーニックスのターフと、ミニネイチャーの草だけで作ったジオラマのよう。実物でもこんな風に生えてるんですから、地面なんて恐れることはありません。やってみましょうよ。



そして駅での停車中に移動し、虎杖浜駅の竹浦側で出発シーンを撮影したのがこのカット。ユルいとはいえ、けっこう追いかけていたりしますが。奇しくも初めて北海道に撮影旅行に来たとき、最初に撮影したパシフィック機が、当時苗穂機関区に配置されていたこの38号機。「すずらん6号」から降り立った千歳駅の駐泊所で撮影したカットは<「あそこ」での一日(その1) -1972年7月14日->をはじめ、このコーナーの中でも何度か公開しています。そう、これが北海道で撮影したパシフィックの最後のカットですから、北海道のパシフィックの撮影は38号機に始まり、38号機で終わったのです。なにやら「釣はフナ釣りに始まりフナ釣りに終わる」みたいな。



続いては再び登別-虎杖浜間で下り貨物列車を狙います。追分機関区のD51231号機の牽引する車扱貨物列車です。この頃になるとユルさも手伝ったのでしょうか、ブロニカ手持ち撮影ながら、リアルタイムでレンズ交換をして150mm望遠の引きと75mm標準のアップを両方押えるという撮り方を良くしています。そういえばやったよなという程度に記憶の隅には残っているのですが、こんなにやっていたとは結構びっくり。毎回出てきますよね。北海道の蒸気機関車牽引の貨物とはいえ、ここは最もスピードが出ている区間だと思いますが、それでも果敢にやっています。ところでバックの山の削り取りはなかなか強烈で印象的ですね。



そしてニッコール75mmf2.8に交換して、寄せて撮影したのがこのカット。LP403の前照灯が点灯していますが、これはトンネルで点灯したものをまだ消灯していない状態で、今のように日中に標識灯として点灯して運転していたわけではありません。231号機は東京上野の科学博物館の科学技術部門の展示物として保存されており、関東の人にとっては最も親しみやすい北海道型のD51という感じですが、実は長野工場製で近畿地区や東北地区で使用され、43・10に伴う移動で盛岡から北海道入りしたカマです。十三本木峠越えで活躍中の姿が、三重連を撮影に行ったファンのカメラに結構記録されています。



ということで、これでこのときの撮影は最後。それはとりもなおさずわざわざ撮影旅行に行って撮影した現役蒸気機関車の最後のカットということになります。下り貨物列車を牽引してやってきたのは、追分機関区のD51241号機。なんと国鉄線上の最終定期列車を牽引したD51241号機が、個人的にも最後の撮影となっていたのでした。これはこのシリーズの初期、2月に載せた駅で撮影したカットの続きということになります。241号機にはいろいろな思い出を持っている方も多いと思いますが、ぼくにもそんな繋がりがあったとは。そもそも241号機の走行中の写真を撮ったことすら忘れているのだから仕方ありません。こういう発見があるから面白いんですよ。




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