危ない人々




日刊スポーツ1993年12月7日号 23面より

日本テレビ報道局に刃物男 報道局次長きりつける 全治1カ月
「局長どこ」と尋ね歩く 29歳、入院歴「マインドコントロールで家庭破壊された」

6日白昼、日本テレビに刃物を持った男が押し入り、応対した報道局次長を切りつけて全
治一ヶ月の重傷を負わせる事件が起こった。
男は速報で駆けつけた麹町署員に傷害の現行犯で逮捕されたが、「日本テレビの元ディレクターにマインドコントロールのテープをばらまかれ家庭が破壊された」と供述している。男は川崎市の自称水道業のA容疑者(29)。精神分裂症で入院歴があるという。

(中略)

調べに対し、A容疑者は「Yディレクター(元日本テレビディレクター)にマインドコントロールのビデオをばらまかれた。マインドコントロールとは地球外生物のことだ。マインドコントロールによって自分の家庭が破壊された。Yをなんとかしようと思って日本テレビを訪ねた」と供述している。
YディレクターはUFOなどの特番で知られているが、日本テレビでは「UFOに関するものだけで、マインドコントロールのビデオなど存在しない」と言っている。
A容疑者は3年前から不眠症のため、埼玉県内の病院に通院。昨年7月から11月まで精神分裂症で相模原市内の病院に入院していた。抗議文などは持っていなかった。麹町署では、被害妄想が強く、特にYディレクターとのかかわりが認められないため、同
ディレクターから事情を聞くことはしないという。

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みかん星人の襲撃も、電波を送ってやる男も、こわいといえばこわいけど、ほんとに刃物持ってやってくるヤツにはかなわない。ましてや、報道局なんて矢追モノと全然関係がないワケだから、たまらんよね。思い込みの激しいヒトのやることは……。
また、こんな例もあります。

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ニューズウィーク日本版 12月22日号 P15
「怒りと挫折と妄想の果てに <銃乱射事件の犯人がたどった「暴走」への軌跡>」より
"Rage, Resentment and Ruger"
by Melinda Beck with Susan Miller and Lucille Beachy in NewYork

ニューヨークのブルックリンに住むパトリック・デニスは、真夜中に警官が激しくドアをたたく音で目を覚ました。デニスの母親がコリン・ファーガソンに貸している部屋の捜索令状があるという。
デニスは、ファーガソンが大声で清書を読み上げているのを耳にしたことがある。人種差別について何やら怒鳴っていたこともあった。
あるときデニスは、ファーガソンと議論しようとした。熱心なキリスト教徒がそんなに怒るのはおかしいと言うと、ファーガソンはさらに怒った。
デニスは彼が自殺しかねないと思い、出ていってほしいと申し出ていた。「そのうち部屋で首をつるんじゃないかと思っていた」と、デニスはいう。
だが、ファーガソンが選んだのは別の道だった。家路を急ぐ乗客で埋まった電車に乗り、半自動拳銃を乱射したのである。
警察によれば、ファーガソンは憎しみをつづったメモを持っていた。「その理由」と書かれた下に、次のような言葉があったという。「白人とアンクル・トム的黒人の人種差別」「アデルファイ大学の人種差別」「労災補償局の人種差別」……。
○クオモ知事にもじかに電話
だがファーガソンが強烈に感じていた人種差別は、ほとんど妄想だったようだ。
(中略)
○大量殺人犯の典型像に合致
今年春、ファーガソンはカリフォルニアへいった。職探しが目的だったが、ロングビーチのモーテルに入った翌日には、銃購入の頭金82ドルを支払っている。十五日間の待機期間の後、彼は銃を手にした。
専門家によれば、ファーガソンは、大量殺人犯の典型像に当てはまる。内気で偏執症的な中年男性であり、自分の挫折を周りのせいにする……。
暴力犯罪に詳しいニューヨークの精神科医ケネス・ターディフによれば、「こうした人たちは、人種や階級、性などにまつわる差別に大変な怒りをもっており、それを自分と同じ労働者に向けることがある」という。
そんな精神状態の人がどれだけいるかはわからない。ただしターディフら専門家が懸念するのは、偏執狂的な人間でも簡単に銃が手に入るアメリカの状況だ。個人的な妄想が公共の場で人々に危害を加えることになりかねないからだ。

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いろんな人がいるもんですね。こういう状況を見てたら、またへんなの書きたくなっちゃった。こういうことやるから、オトナげないとか、ガキだとかいわれるのはわかってるけど、まあ、文句あったらいってください。

ある会社でのおはなしです。

12月に入ったある日、女性社員たちが集まってハナシをしています。

「もう12月。また、うっとうしい忘年会の季節じゃない」
「ほんと。最近、オフィスでこそセクハラオジさんたちもちょっとおさえ気味だけど、忘年会となるとねぇ」
「無理に飲ませたり、こそっと触ったり、性懲りもなく口説いたり」

もちろん、こういう話題はよくある世間話。
特定の個人名をあげた、誹謗中傷ではありません。

この話題が、まったく身に覚えのないとはいえない、オジさんのあなたが、偶然これを耳にしてしまいました。
さて、そこであなたがする行動は……、

その1. そっと胸にてを当てて反省し、今年の忘年会では決してセクハラと思われる行動はすまいと誓う。

他山の石ってやつですね。心に余裕があるヒトですね。
でも、こういうヒトなら、そもそもセクハラは起こさないでしょうね。

その2. 自分はそこまでセクハラオジさんじゃないと思ってるので、そういう困ったヤツもいるのかと聞き流す。

こういうヒトが多いでしょう。でもきっと、何がセクハラかはわかっているの
でしょうから、事件を起こすことはないでしょう。

その3. 「何をこの小娘が」と思い、そこまでいわれるのなら、今度の忘年会ではセクハラしまくるぞ、と心に誓う。

これは、危険ですねぇ。ここまでくると確信犯ですね。でもこういう確信犯のヒトならば、いつかセクハラ事件は起こすでしょうね。

さてここまでなら、内容の問題こそあれ、反応としては脇から聞いていたオジさんが勝手に心に思うことですから、何を思おうと、自分で責任がとれれば、勝手といえば勝手です。
しかし、こういうヒトがいたらどうなるでしょうか。

その4. ハナシを聞いて、「こいつらは自分のことを中傷にしてる」と思い込み、「オジさんをナメるんじゃない」と、女性社員たちを罵倒する。

これは、手の打ちようがありません。どうにかしてます。
きっと女性社員たちも、「このオジさん、バカじゃないの」と、あきれることでしょう。

そうです、こんなヒトが、バカなのです。こういうひとなら、バカとよばれてもしかたないでしょうね。しかし、こういうヒトに限って、自分は絶対にバカじゃないし、バカとよばれることは許せないといいそうですよね。
これ以上いうと、たとえばなしにならなくなりますが、現実の社会も、BBSのなかも、このあたりの構造はけっきょく同じなんですよね。

ちょっと視点を変えて、某関西TV局の友達から聞いたこんなハナシもあります。

関西の放送局では、土地柄、番組の視聴者の皆様の中に、番組内容や出演者の発言に対して、いろいろご意見をしてくれるかたが多い(笑)ということで、各局とも視聴者センターとか称して、その対応専門のセクションを設けて、わざわざ電話してくれるかたに失礼がないよう、気配りをしています。
で、そういうまめな対応をしていると、本来の(?)お客様以外にも、いろいろ電話をしてくれるヒトがでてきます。

さびしい一人暮しの老人が、話し相手がほしくて、番組の中身についていろいろ意見してくるなんていう「常連さん」もいるそうですが、それはさておき、そういうところには、番組内容に対する「抗議」の電話もいろいろかかってきます。
そういう電話をかけてくるヒトに多いのは、どういうタイプかというと、

「番組の内容が、自分を個人的に批判し攻撃していると思い込むヒト」

なんだそうです。

まあ、だれでもわかることですが、番組というのは「あなた」のためだけにオンエアされているのではありません。久米宏にしても、筑紫哲也にしても、不特定多数の視聴者に向かってオンエアしているのであって、「あなた」にむかってはなしかけているんじゃないですよね。こんなことは、小学生でもわかります。
ところが、こういうオジさんは、ニュースステーションを見るときも、久米宏が自分だけに向かってハナシをしているような気持ちで、番組を見ているらしいのです。
だから、たとえば、

「定年とともに離婚する夫婦が増えている」

というニュースがあってとして、それが偶然、そのヒトに当てはまっていると、自分がバカにされている、自分が番組の中で批判されている、と思ってしまい、

「天下の公器で、よってたかって俺のことをコケにするんじゃない」

と、怒りの電話をかけてくるのだそうです。
こういうヒトは、番組が不特定多数に届いていることがわかっているのにもかかわらず、その内容の問題になると、自分のことをいっていると思い込んでしまうわけです。

ようは、ある種の自意識過剰なんでしょうが、ここまでくるとちょっと病的ともいえます。実際、精神病の研究者なんかにいわせると、こういう「自分の個人的な生活の領域」と、「社会的な公的な領域」との区別がつかなくなる病状はいろいろなところで見受けられるものだそうです。
まあ、ちゃんとした治療をうければ、まっとうな社会生活がおくれるように回復できるそうです。よかったですね。でも、こういうのって保険がきくのかな?

でもこの文章自体、誰を相手にしたものではない一般論だけど、こういう病的なヒトって、この文章を読んだら、きっと自分のことを書かれたって思うんだろうな。こわい、こわい。


(93/12)



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