蒸気機関車の運転

TDL ウェスタンリバー鉄道の見どころ



昔のディーゼルカーでは、変速機は基本的に、直結(直につなぐ)、と変速(トルコンをカマす)の2段でした。変速のほうは、全体に回転を落すギアが入ってたと思うけど、クルマのオートマのように、自動進段じゃなくて、トルコン自体の変速比を大きくとって、それですましてました。あ、ギアでの変速比じゃなくって、トルコンの送り側と受け側の、「羽根」の構造の違いかもしれない。

だから、ディーゼルカーのエンジン音は、力行をはじめると、すぐにフル回転のレベルにまで達して、グゥオングゥオンいいながら、だんだんスピードが乗ってくると、直結に切り替え、一気に回転数が落ちますね。
中には、自動進段のオートマつけた機関車もあったけど、メンテとかが大変で不評だったみたい。なんだっけ、DD54だっけ。タクシーでもオートマ使うようになったのはこの10年ぐらいのものだから、耐久性に問題あったんだろうね。

で、電車に乗っててディーゼルカーの力行時みたいな音がすることがあるけど、あれは空転ですね。車輪がスリップして空回りする。その分、回転数だけ上がる。雨の日とか起こりやすいです。これがおきると過電流が流れるので、「カポン」とかいってブレーカーが落ちちゃう。で、リセットしなくちゃいけない。このリセットは鉄道用語で「又入」っていう。またいれだよ、またいれ。ちょっとヤらしい。

でも、空転というとスタート時に、トルクに比して動輪の粘着力が足りないときに起きやすい。電車とかだと粘着力不足がほとんどだけど、蒸気機関車だとトルク過多で空転が起きる。これは外燃機関特有のもの。

外燃機関にはバルブタイミングというのがあります。要は、入れた蒸気のどのぐらいを実際の出力として取り出すかのコントロール。惰性で走ってるときは、全く力がかかってない。この状態では、シリンダ内を完全に外気がすかすか通るようにして、ピストンがあっても、物理的な表面摩擦だけしか抵抗がない状態にして惰行するわけです。この状態を、0%のバルブタイミングといいます。

その逆にすかすかが全くなく、吹き込んだ蒸気が脇に抜けずに、全てピストンにかかる状態が、100%のバルブタイミングです。

実際の運転では、このバルブタイミングと、加減弁での蒸気量のコントロールを組み合せて、動輪にかかるトルクを調節して走らせるわけです。
内燃機関はよく知らないけど、一般のガソリンエンジンでは、燃料の噴出量と、空気の吸入量が、従属変数というか、回転数に対応した曲線上で、一意に決まってますよね。キャブレターのジェットノズルが一定であれば。バルブタイミングと、加減弁の関係は、ガソリンエンジンに可変ジェットノズルと、可変エアインテイクがついていて、回転数(絶対吸入量)から独立に、混合気の濃度(燃料の噴出量と、空気の吸入量)を調節できるようなモノと考えればいいでしょうか。
実際には、内燃機関だと「火がつかない」状態では困るので、可変にできないのでしょう。しかし外燃機関だと、関係ないからこれが自由にできると言うことではないかと思います。

だから、外燃機関の特徴として、回転数の低い段階から、ほぼ出力の100%に近いトルクをかけることができます。バルブタイミングを100%にして、蒸気量だけでパワーをコントロールする場合です。

これは、スローでもものスゴい力が出るので、入れ換えのときなど非常に有利になります。ハンプ押し上げ等に長らくSLが使われてきた理由がこれです。その反面、粘着力に対してトルク過多になり強烈な空転を起す危険性も高いです。
新鶴見とかで入れ換えを見ていると、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、と動き出した機関車がすぐ空転をはじめ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザって回転が上がる様子によく出会いました。

蒸気機関車では、このようにスタート時というのがけっこうキモなのですが、見てるほうも、スタート時は最も力強い感じがしていいですよね。その鍵を握るのが、もうもうと上がる蒸気。これをドレーンといいます。これもまた、外燃機関の構造に由来したものです。

止まっているときは、バルブタイミングは0%にしてあります。外気とすかすか状態でいるシリンダは、常温まで下がってしまいます。もしこの状態のまま力行を始めるとき、蒸気が一気に冷やされて、下手をすると、真空状態ができてしまいます。
これを防ぐために、ドレーンバルブというのがついていて、シリンダが暖まるまで、蒸気とともに水分を外に強制放出するようになっています。
スタート時に、シリンダの周辺から、もうもうと蒸気を上げて走り出すのは、この、ドレーンバルブを開いているからです。しかし、用語として、ドレーンバルブを開くことを、「ドレンを切る」というので、ちょっと注意が必要です。

このへんの様子を知りたい向きは、東京周辺では、ディズニーランドのウェスタンリバー鉄道が、重油専燃とはいえ、ちゃんと蒸気で動いていますから、参考になります。客車の先頭にのると、運転士の動作がよく見えます。

但し、力行する区間は、全コースで基本的には3ヶ所しかなく、それも、ちょこっと力行するだけなので、おみのがしなく。というのでは不親切なので、力行区間ガイドといきましょうか。ともかく乗ればわかります、というのじゃひどいんで、まずは力行区間の見分け方。それは勾配を見ていけば、おのずと想像がつきます。ウェスタンリバー鉄道では、とにかく駅が一番標高が高いのです。これがカギになります。

では一周しながら見ていきましょう。まず、駅を出発するときには、少なくとも力行が必要です。これはシリンダが冷え切ってる分、ドレンは派手ですが、駅出てからずっと下りor水平なので、所定のスピードまでいくと、すぐ切っちゃいます。

で、スプラッシュマウンテンの脇から、マークトゥエイン号の乗り場にかけてが、すこし上りなので、ここで力行します。これも、ごく少し。

で、ビッグサンダーマウンテンのうらから、恐龍のトンネルに入りますが、ここが最低標高地点。ここから、駅にかけてが一気に上りである上に、前の列車との関係で、運用停車することもあるので、一番がんばる区間です。でも、トンネルの中なので、音だけ(笑)。という具合です。


(94/11)



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