新しい時代のマーケティングとプロモーション



古典的な購入プロセスといえば、たとえばクルマの場合、「欲しいと思う→情報を集める→店頭にいって試乗する→購入する」みたいなことになるんだと思うけど、これがリニアじゃなくなってきているのが最近の状況ですね。この流れの中でもここ10年ぐらいで大きく変わったのが、「情報を集める」までと、「試乗する」からとが、直接つながらなくなってきた点でしょう。
実際に商品に触れたときに、何を感じるかが、極めて重要な購入動機になってきたのです。それ以前のプロセスである「理屈」の部分でいくらいいと思ってても、この実際に触れたときの「皮膚感覚」が悪いと、絶対に買ってもらえないのが現実です。
これは、家のように高い商品でも、ラーメンのように安い商品でも同じです。これで何が起こったかというと、キャンペーンの全体の中での広告とプロモーションの役割転換が起こったのです。

「そういう商品がでてることを知らせる、告知」を担当するマス広告。
「その商品に関する理解を深める、情報」を伝える情報型プロモーション。

この両者はあわせて、
「店頭まで、客の足を運ばせる」あるいは、「店頭で、商品を手にとらせる」
ツールにしかすぎないわけです。

もちろん、モノを売るには、この両者は基本的に欠かせません。しかし、今は大量生産・大量消費の時代と違い、これだけではモノは売れません。実際に商品を手にとって、試してみて、商品にユーザの心に訴える魅力がくては買ってはもらえないのです。ということは、この商品の「魅力」を最大限にアピールしつつ、さらに心に響くようにするための、「商品力を最大限に演出しアピールする」ツールとしてのプロモーションが求められているはずです。

逆に商品選択は、最終的には「全く理屈からは離れた」部分で行われているわけで、昔の高度成長期のマーケティングのようにここを理屈でとらえようと思ってもそもそも無理ではないかと、ぼくは考えています。
売りの現場まで連れていくこと、興味を持たせること、そして、安い商品なら一度試し買いをさせること、このくらいまでは、古典的な意味での「広告・プロモーション」の領域ですし、この領域でもまだまだやれることも多いと思います。
しかし、ぼくが言いたかったのは、プロモーションのみが持つ可能性というか、古典的なキャンペーンの域を超えて、商品の「気持ちよさ」を増加させるような仕掛け作りも可能だし、それがプロモーションのこれからの大きな役割になってくるんじゃないかな、ってことなのです。
キャンペーンの中で、マス的な広告・プロモーションは絶対必要だし、これからもなくなることはないけれど、逆に急激に成長することもない。広告としての新しいビジネス領域を考えると、これはもう「気持ち」の領域をサポートするプロモーションに取り組まざるを得ないし、ここを追及していけば、その可能性はおおいにあるのではないでしょうか。

これは、一言でいえないからこそ難しい。だけど、あえてたとえて言ってみよう。クルマの例でいえば、「試乗」は大事で、気持ちよさを伝える鍵になる。しかし、試乗するドライバーのうでと経験、実際にどういうところで試乗するか、といった要素によって、伝わるイメージって、すごく変ってくるよね。
たとえば、ぼくの場合は、免許取って以来20年以上も飛ばしまくっている走り屋だし、自分で運転したかどうかは別にして、いわゆる名車には、一度は乗ったことがあるから、それなりの状況下で、それなりに乗っても、「これは並み」とか、「こいつは半端じゃない」とか、なんかピンと感じることはできる。
だけど、免許取ったばっかりとか、いろんなクルマに乗ったことがないとか、まだ経験が未熟とか、そういう人にそのクルマの快感を伝えるにはどうするかとなると、これは工夫がいりますよね。
サーキットに連れていって、プロのドライバーの運転で、コースを何回か 回ってみるとか、箱根で試乗会やって、走り屋が本気で芦ノ湖スカイラインを攻めるとどんなにすごい気分かとか、こういう体験させるのも、一つの方法でしょう。
あるいは、はやりのバーチャルリアリティーじゃないけど、疑似体験を使って、そのクルマの安全性をアピールするというのも、安全性を重視する人には感じるものがあるでしょう。RVとかなら、実際に一泊二日貸し出しで、お試し体験をしてもらうキャンペーンも有効でしょう。
これは、単なる思いつきだけど、試乗というだけでも、いろいろ工夫して魅力をよりアピールする方法はいくらでもあると思います。こういう工夫は、マスセールスの時代の「広告・プロモーションキャンペーン」とは違うところだけど、広告会社なりに工夫して提案する余地があるし、クライアントも、よりオリジナリティーがある提案をすれば、お金をだす意思をもっているところといえるでしょう。

これは、食品や日用品でも言えることです。昔みたいに、名前とパッケージが違うだけで、基本的にどの製品も中身は同じという時代ではなくて、カップラーメンだって、ひとつひとつの個性で売っているわけですから、それをアピールするためのプロモーションを作るためにはなにか方法があるはずです。
たとえば、チリトマトヌードルを食べたい人は、チリトマトが食べたいわけで、それが手に入らなかったからといって、ラ王で代用するという関係にはありません。ということは、その商品が持ってる「魅力」を、どうプロモーションで増幅してやるかという技法がとれるのではないでしょうか。
たとえば、ぼくは超激辛マニアなので、刺激物は大好きなのですが、実際の香辛料の量は同じでも、感覚的により刺激を強く見せるようなプロモーション展開ができれば、そっちの製品のほうにひかれると思います。
ただこれが、コスト的に意味のあるプロモーションになるかというと、こ時と場合によることになってしまうのが難しい点でしょうが。

どちらにしろ、このような「感覚に訴えるプロモーション」が成功すれば、直接売上に結びつくことは間違いない時代です。これをどう実現するかが、これからのマーケティングの大きなかだいであることは言うまでもないでしょう。


(95/07/13)



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