日本人のルーツと統計的傾向



最近また、日本人のルーツの問題が人気を呼んでいるようです。縄文系と弥生系では、先住系と渡来系という違いがあり、系統が違うこと。それぞれいろいろな形質的違いがあることなどは、すっかり常識となりました。たとえば形質でいえば、あくまでも比率の問題ですが、粘性の耳あか比率、腋臭の比率、B型の比率、等については、縄文系のほうが有意な差で多くなってます。

あくまでも統計的比率ですから、一人のヒトでどうこういうことはできません。その集団が何系かはわかっても、そのひとが何系かを判断する基準にはなりません。日本では、都市部を除くと、いまでもかなり地域的な系統の差がありますから、「この地域は何系が多い」とか言うレベルで比べる分には、充分意味があります。

もちろん、都市部でも出身地は偏る傾向があります。だから、都市圏によって違いは顕著です。夏とか、東京圏と、関西圏で、電車に乗ってるビジネスマンの腕の毛の毛深さとか見ると、明らかに有意な差があります。東京のほうが濃いヒトが多いのですが、これは、縄文系の影響の強い東北出身者(なんたって三内丸山遺跡をはじめとして、縄文文化の中心は東北ですからね)が圧倒的に東京に多いからです。

個人で見るなら顔でしょう。骨格的な特徴は、もっとも混血しにくい部分です。白人や黒人とのハーフがすぐわかるのもこの理由です。顔をみれば、なれてくると、どのくらいのパーセンテージでどっち系かわかるし、3代前ぐらいの出身地も、おおよその地方は、わかるようになるそうです。

さて日本人全体では、DNAの変異の比率で調べると、平均して、弥生系9ないし8.5対縄文系1ないし1.5ぐらいの混血度合だそうです。青森とか鹿児島とか、端のほうにいくと、縄文系が濃くなって、縄文系の直系の後継者といえる、沖縄やアイヌ民族のヒトたちになるともっともっと濃くなります。

ここで大事なのは、この事実があくまでも統計的傾向として現れてくること。特定個人一人一人については、どうこういえるモノでない点です。具体的には、いくつかの人間集団があって(最低でも有意差を出すためには100人ぐらい必要)、日本国内において二つの集団を比べた場合、縄文系の因子を多く受け継いでいる集団のほうで、粘性耳垢や、腋臭の発生確率は、有意な差で高い。ってことしか、学問的に証明できません。

特定の一個人でどうかというと、これは何とも言えません。すでに、何十世代も混血が進んで、その上で特定個人の形質が決まっているから、いろんな組み合わせがある。顔は縄文系でも、乾性耳垢の人もいる。渡来系の顔でも、腋臭の人はいる。渡来形の顔の輪郭に、縄文系の目鼻がくっついているような人もいる(九州に多い)。

もともと形質の問題なので、100%ということは、特別の例外を除いて(アフリカの部族で、全員B型というのがあったらしいけど、こういう事例は例外的)有り得ないワケで、過去に戻って3000年昔の縄文人を調べたとしても、全員が粘性耳垢で、腋臭という形質を持っているワケではありません。縄文系はB型の存在確率が渡来系に比べて高いけど、全員がB型だったというわけではないのと同じです。

人間一人だけだと「こいつはなに人か」ってわかりにくいけど、人数の多いグループになると、どの国の人かわかるのと似てますね。この問題も、やはり統計的傾向の問題です。一人一人が民族なのではなく、民族とは、あくまでも人間集団に対してつけられた記号なのですから。


(97/02)



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