ロック少年にとっての「なつかしの銘盤」





最近なつかしの名盤シリーズが、巷ではやっているようなので、ぼくも一発いきます。でもみんな同じでもつまらないので、一味かえて、永遠のロック・ギター少年にとっての名盤シリーズといきましょうか。

1.レイラ/エリック・クラプトン
60年代のブリティッシュ・サウンドといえば、何といっても、あのビートルズ。しかし、彼らのサウンドは、あくまでもポップスであり、ロックとは、別の流れの上に乗っているものでした。この二つの大きな流れを一つにまとめ、ロックのドライブ感と、ポップスのリリカルさをあわせ持つ、すばらしいサウンドをつくりあげたのは、彼らとも親交の深かったエリック・クラプトンでした。そのなかでも、一つの頂点をきわめたアルバムが、このレイラです。
バンドをつくってみたものの、意外にも女の子にもてないため、作戦を変更、このアルバムのテーマ曲”レイラ”を聞かせ、
「いい曲でしょ。こんど、ぼくのバンドで、この曲やりたいんだけどピアノひいてくれないかなぁ。」
なんて、くどいた人。いるでしょう、ほらあなた。かように、女の子にもロックファンをふやした、記念すべきアルバムです。

2.マシン・ヘッド/ディープ・パープル
やっぱ、これですよ。三人よれば、文珠の知恵。五人よったら、ハイウェイ・スター。てなわけで、バンド少年なら、だれもが一度は通った道。リッチーのギターソロ。ジョン・ロードのオルガンソロ。ほら、不思議とおぼえてるでしょ。一音一音が、耳にやきついているんですね。自分のパートじゃないところまで、キチンと覚えている曲なんて、そうザラにあるもんじゃない。これからも、このアルバムの偉大さがわかる、というもの。音楽的にみても、3rdをオミットしたコードや、ギターとベースの8分のユニゾンなど、現在のロック・サウンドの基本がつまってます。まさに、ロック界の、「ハナ・ハト・マメ・マス」(っていつの時代だ)。でも、これバンドでやるとき、ヴォーカルとれる奴がいなくて、いつも困ったんだよね。御同輩。

3.キャプテン アンド ミー/ドゥービー・ブラザース
悪い、悪い、悪い。みんな、ドゥービーが悪いんだ。嫁さんもらって、30の声が聞こえてきても、まだ、バンドやめらんない奴。ドゥービー、やったことあんだよね。むかし。大体、ディストーション・サウンドで、そのままカッティングやっちゃうなんて、大反則。気持ち良すぎますよ。一旦やったら、もうやめられない。人生、狂いっぱなし。名プロデューサー、テッド・テンプルマンが、いわゆるバーバンク・サウンドを確立した、というだけでなく、それ以降のアメリカン・ロックの方向性を決めた、記念すべき一枚。これがなければ、TOTOも、ヴァン・ヘイレンも、ジャーニーも、ナイト・レンジャーも多分なかったかもしれない。アメリカン・トップ・40のメインストリームを、ティンパン・アレーのソング・ライター達から、ウエスト・コーストのロッカー達へ、決定的に変えてしまった、70年代半ばの変化は、この辺からはじまっちゃったんだよね。

続いては、永遠のギターキッズによるなつかしの名盤シリーズ、インストゥルメンタル編といきましょう。

1.ABRAXAS/SANTANA
やった、やった、これ。ダンパとかだと、必ずでてくるんだよね。ほんと、昔は、ディスコでもブラック・マジック・ウーマン、ちゃんとかかったりしたんだから(ストリップじゃないんだよ)。雑誌のグラビアなんかで、サンタナの写真見るときには、「何て顔してギター弾いてんだ」とかいって笑ってても、いざ、自分がコピーしてひいてみると、なぜか、あの顔になってて、他のメンバーに逆にわらわれちゃう。
だけど、しょうがない。コーコツの表情しないと、あの"入魂のチョーキング"は、絶対にひけないんだから(不思議と、口の開き具合と、音程とが、シンクロしてくるの、どうしてなんだろ)。

2.BLOW BY BLOW/JEFF BECK
完コピなんていう言葉がでてきたのは、この辺が最初じゃないでしょうか。それまでの曲なら、テッテー的に聞き込んで覚えちゃえば、まあ、大体それっぽく弾けたものが、これは、お手上げ。あきらめて、メンフとりましたよ。おかげで、オタマジャクシに強くなりました。ところが、実は、それだけじゃ済まなかった。あの名曲、悲しみの恋人たち。のっけの音が、1弦の8フレか、2弦の13フレか。けんけん、がくがく。ライバルでもあり、親友でもある、ギタリスト同士、議論しましたね。
そう、ポジションなんて、それまでとやかく言われたことなかったんですよ。今みたいに、タブ譜の充実した時代っきゃ知らない人には、信じられないかもしれませんが。古き、良き時代の、おはなしです。はい。(話はかわるけど、悲しみの恋人たちって、著作権の関係とやらで、なかなかコピー譜がでなかったんだよね。)

3.LARRY CARLTON/LARRY CARLTON
出ました。日本アマチュアバンド界の明治維新、フュージョンブームの立役者、ラリー・カールトン。でも、やっぱり、あのフュージョンというのは革命的だった。だって、どのバンドでも、ネックになってた、ヴォーカルの壁を一気につきやぶっちゃったんだから。
もう、下手なヴォーカルの奴とは、オサラバ。楽器なら、いい楽器買って練習いっぱいすりゃ、プロ並のサウンドだって、決して夢じゃない。それから、大きい声じゃ言えないけれど、なんたって、ギタリストがいっちゃん目立てるってのも、すごい魅力。その中でも、きわめつけが、コレ。
イントロから、エンディングまで、ひたすら弾きまくれる。これに負けちゃって、ロックから転向したひと。正直に、手を上げよ。大丈夫。あなた一人じゃない。(そのうち、ギター・カラオケなんていうものができたら、このルーム335と、プリズムのラブ・ミーと、タカナカのレディー・トゥーフライとが、銀恋や津軽海峡なみのヒットになるだろうな)


(1986年5月10日)



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