港の風の想い出 東急東横線・横浜-桜木町間 -2004年1月27日-


年末に、部屋の整理をしていたら、デジカメに移行する前、常用のコンパクトカメラで撮影した、APSのネガが何本か出てきました。その中から、2004年1月、廃止直前の東急東横線・横浜-桜木町間を撮影した写真が出てきました。新線開通は、初乗りがてら撮影することもありますが、廃止になるからといって撮影に行くのはほとんどありません。とはいえ、東急は「地元」なので、このときばかりは撮影に行きました。まあ平日なので、撮影時間は1時間も取れなかったのですが。考えてみると、ちょっと前のことと思っていたのが、もう7年前。今、鉄道研究会の現役大学生でも、かろうじて小学生のときに体験できた世界です。高架線の横浜駅の遺構もすっかりなくなり、今年の春には、東急の横浜駅があった横浜駅ビル「CIAL」も閉館、解体され新ビルに建て直されます。そう考えると、この景色も充分「記憶の中」ではないでしょうか。ということで、このコーナー初、21世紀コンテンツの登場です。



この時は、廃止ということで、車輛の走行シーンのみならず、駅の施設や駅名票、発車案内や時刻表など、いろいろな小物も撮影しました。そういうワケで、なつかしい各駅の駅名票の写真がありますので、これを扉代わりに。まずは終着駅、桜木町から。


手始めは、桜木町駅6番線に進入する、各駅停車桜木町行きの9006F。この当時の9006Fは、TOQBOX車輛でした。TOQBOXのいわゆる「シャボン玉」も、この編成が最後まで残っていたようですが、2010年の6月に消えてしまい、過去の記憶となってしまいました。9000系自体はまだ全編成現役で活躍していますが、東横線からの淘汰が始まっており、中間車の廃車が始まっています。この9006Fも5連化されて、すでに大井町線に転属してしまいました。そういう意味では、桜木町駅も、TOQBOXも、9006Fも、三重の意味で過去の記憶ということができます。


続いて、桜木町駅5番線に進入する、特急桜木町行きの8000系、8033F。このころは、すでに8000系の廃車が進み、櫛の歯が欠けるように運用から離脱していましたが、桜木町廃止までは、まだまだ勢力を誇っていました。しかし、みなとみらい線非対応ということで、2004年1月末で運用離脱した編成も多く、この8033Fも1月末で離脱でした。ということは、あと数日のお勤め、という状況。無煙化直前の、蒸気機関車の活躍という感じです。8500系はまだ田園都市線で活躍していますが、こうやってみると、側面こそ似ているものの、8000系の低窓は大時代的でなつかしい感じがします。


6番線に今度は、8013Fが入ってきました。これまたなつかしい、更新車の「歌舞伎塗装」。名残の「各停桜木町」行を表示した正面を撮ろうと、ファンが集まっています。この頃はまだ、一般の方々まで携帯のカメラで記念写真を撮りまくる、という状況ではなかったようで、皆さん、ある程度気合を入れて準備されているようです。とはいえ、廃止4日前で、このぐらいの人出。平日の昼ですし、数分ヘッドで走っている通勤区間ですから、少ないともいえますし、多いともいえるのですが、当時のイメージでは、けっこう人が集まっている、という感じでした。わずかですが、ワザワザカメラを持ち出してきた一般人の方も見受けられましたし。


続いて、高島町での撮影です。桜木町駅の駅名票は、路線カラーをフィーチャーした新しいタイプになっていましたが、こちらは、昔なつかしい、実用一点張りのタイプ。全体的に傷んだ具合が、いかにも廃止予定という感じですね。


ランドマークタワーをバックに、高島町駅に進入する、各停渋谷行きの8035F。8035Fも8033Fと同様、2004年1月末で運用離脱しました。実はこの写真、今月のホビー日記・2005年1月で一度取り上げたカット。その時はプリントからスキャンしましたが、今度は、APS対応のスキャナを持っていないので、プリントショップに依頼してデータ化してもらったもの。中々どうして、解像度も色バランスも、Web用としては侮れません。それにしても、最近はスカイツリーが話題になってますが、高層建築を鉄道写真の中に入れ込むのは、ホントに難しいですね。


高島町駅のホームに戻ると、やってきたのは8590系、各駅停車桜木町行き8691F。高島町駅のホームは、編成長が延びるにしたがって、延長を繰り返したものの、高架線の幅が限られているため、その末端部分は半端な細さじゃありません。東の高島町、西の中津という感じで、阪急の中津駅といい勝負ではないでしょうか。その狭い末端部こそ、マニアの方々が陣取っていますが、ホームのまん中のあたりでは、ラストデイが近いといっても、基本的にはいつもの昼下がりと変わらない光景が展開されています。こういうシーンこそ、廃線前に撮っておきたいカットなのですが。



高島町を出発する、特急桜木町行きの8694F。先ほどのカットもそうですが、ランドマークタワーは、車窓からはよく見えるものの、東横線電車とウマくワンフレームにおさまる構図は、なかなかありません。この時は、もっと簡単に撮れるかな、と思っていったのですが、あまり撮れませんでした。これは、そんな苦肉の策。見返りショットですし、電線がウルサいですし、車輛も日陰に入ってしまっていますが、なんとか絵にまとめたという感じでしょうか。そんな苦労も、想い出のうちということですね。


最後に、横浜駅での撮影。横浜駅の駅名票も、東急の古いタイプのものですが、さすがに東横線の南の雄、横浜駅のものだけあって、手入れは万全です。各駅、上り線の駅名票を撮影したのですが、横浜駅は側式ホームなので、これだけ向きが逆ですね。


東海道線をオーバークロスし、横浜駅に進入する、特急渋谷行き8694F。先ほど高島町で出会った、桜木町行きの折り返しです。この時、横浜駅上りホームの桜木町寄りには、5〜6人のファンが陣取っていたでしょうか。皆さん、立ち位置のアイレベルで構えていましたので、足元からローアングルのポジションは、直前でもあっさり取れました。この位置なら、立ち位置より、このアングルの方が絵になりますね。一日だけ、それもわずかな時間でしたが、廃車寸前の8000系や、東急の車輛の中では大好きな8590系を中心に撮影できたのは、運がよかったといえるでしょう。


(c)2011 FUJII Yoshihiko


「記憶の中の鉄道風景」にもどる

はじめにもどる
inserted by FC2 system